もう少しお家時間を楽しめますように、映画好きな素人のおしゃべりに、お付き合いください。
皆様がひとつでも観たい映画が見つかれば嬉しいです。
本日も、そろそろ夕暮れになりましたので始めましょう。
「シザー・ハンズ」 ハサミ男は雪を降らせる
原案・監督:ティム・バートン。
〈Story〉
町外れの山の上の屋敷に暮らす発明家(ヴィンセント・プライス)が人造人間・エドワード(ジョニー・デップ)を造った。両手はハサミで、心臓はハート形クッキーで仮に造った。そして、彼が心臓発作で死亡すると、エドワードはひとり屋敷に残された。。。
「シザーハンズ(1989)」は、作り物感がいい感じ。家も服装もピンク一色とか黄緑一色とかで、ミニチュアっぽさが楽しかった。
可愛らしい街並みなのに、近くにおどろおどろしい屋敷がある変わった景色に引き込まれた。
遠景の山の上にあるお屋敷ですね。
雰囲気の落差がすごいですよね。
映画の中の街が日本の高度成長期と似ているなぁと思いました。アメリカでもそういう時期あったのかな。
パステルカラーの家が60年代に流行っていたらしいです。[アメリカの1960年代は、経済成長、自動車普及、パステルカラーファッション。公民権運動といったマイノリティの人たちが声を上げ始めた時代]
朝にみんなが揃って車で出勤して、夕方に帰って来る、そういう時代なんですね。
でも、丘の上の屋敷は雰囲気が違う。
屋敷の階段が境界で、渡るとあの独特な世界に入る。あの階段が良いね。
あそこだけモノクロ映画みたいになっています。
そうね、エドワード(ジョニー・デップ)の格好が当たり前だけど、街の人と全然違うっていうか、同じ映画のキャラクターとは思えないほどギャップがあって。
ペグ(ダイアン・ウィースト)が屋敷に化粧品を売りに行く時にカラフルな服を着ていて、そこにモノクロのバック。
際立っていたよね。
エドワードはその化粧品売りの女の人の娘さんと恋に落ちる。
そうですね。すごく親切な人。
街の人たちは最初はエドワードにちやほやして、「庭の木を切って」とか「髪の毛切って」とか散々いいように使っていて、ある事件で手のひらを返して「危険だ」ってなる。あれが辛かったなぁ。エドワードの濡れ衣が晴れることがなく終わっちゃったのが後味が悪いと思ったな。
ペグがエドワードをお家に連れてくると、みんなが関心を持って「誰を連れてきたんやろ」みたいな。
すごい内輪感がありましたよね。
みんなで電話で連絡しあう。
ああいう井戸端感。すぐに噂が広がって、その辺もアメリカっぽくないような、当時はどこの国も一緒なのかなぁって気がしました。
確かに。
噂好きっていうのかな?
休みの日には外にデッキチェアを出して、バーベキューを焼いて。。。
小さい街で閉鎖的。
新興住宅と昔からある屋敷。
そこだけ変わってない感じですよね。
で、そこから出てきても違和感がないように。
意外とあのお屋敷が近いんや、って思いました。もっと上のほうにあるのかなぁと思った。意外と歩いて行けるやって。
エドワードが見た目でギャップがあるのに、連れて帰ったら、みんなすぐに馴染んで、そこがまたおかしかったです。
あの物語の構成は、「美女と野獣」と似ています。
まさしく異形ですね。
なんで手がハサミの人を作ろうと思ったのか?
「手」というキーワードが重要ですね。
「触れない手」。
触れない、でも特殊技術を生かして街の人と交流ができます。散髪とか、剪定とかするんだけど。男の子を助けるとハサミで傷つけちゃう。
ジレンマがありますね。
あの警官の人(ディック・アンソニー・ウィリアムズ)がいいじゃないですか。
「逃げろ」って逃してあげます。
釈放された時も「お前のことが心配で寝れなかったよ」って、いい人です。黒人さんだったこともあるのかなぁ。
そうでしょうね、きっとね。
「特別」や「異種」は最初は面白いけど、何かあった時に差別になります。風刺的です。
Eくん
年間 120本以上を劇場で鑑賞する豪傑。「ジュラシック・ワールド」とポール・バーホーヘン監督「ロボコップ(1987)」で映画に目覚める。期待の若者。
キネ娘さん
卒業論文のために映画の観客について研究したことも。ハートフルな作品からホラーまで守備範囲が広い。グレーテスト・シネマ・ウーマンである。
夕暮係
小3の年に「黒ひげ大旋風(1968)」で、劇場デビュー。照明が消え、気分が悪くなり退場。初鑑賞は約3分。忘却名人の昔人。
ティム・バートンの世界から
博士が死ぬのは突然でしたけどね。
あれもびっくりしましたね。
なんで死んだのかはわからなかったですね。
人間の「手」を与えようとしていた。あれもしっくりこなくて、それだったら最初からハサミを。。。
「手」は最後でしたね。
心臓は早目にクッキーで作った。
最初は野菜を切るロボットみたいだったですよね。
冒頭の製造マシンがおもちゃみたいで、暗くて可愛らしいバートン特有の雰囲気でした。
みんなが屋敷に押し寄せたときに、大きな歯車があったりね。
オープニングの20世紀フォックスのファンファーレに雪が積もっていた。
映画に合わせた演出ですね。
最近の「アリータ: バトル・エンジェル(2019)」だと、FOXのロゴが朽ち果てた感じだったり、映画の世界に合わせて変えるのが好き。
いいですよね。
「レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981)」もそうでした。
昔からあったんですよ。ちょっとイジるみたいな。(「アラスカ珍道中(1949)」では、映画の途中でアラスカの山がパラマウントのマークに変わる。これがトレードマークをイジる最初かも)
ディズニーもありますよね、シンデレラ城が変わっていたりとか。(ディズニー映画のオープニング動画を制作したのは、VFXアーティストの多田学さん)
「シザーハンズ」はおとぎ話の始まり方ですよね。
そうですね。回想から始まる。
「なんで雪が降るの?」それを説明する。
ばあちゃんがお孫さんに話をする。
あのおばあちゃんがキム(ウィノナ・ライダー)なんでしょ?
そうです。娘の方ですね。
あれはやっぱり他の人と結婚したのかな?
そうですね。
最後になるほどと。。。
エドワードは何十年たってもキムのことを思って、氷をパタパタって削っている。
切ないですね。バートンの世界観が好きです。いびつで、ちょっと不気味。
「バットマン リターンズ(1992)」もペンギンがいびつな感じ。
ティム・バートンはイラストが得意だったみたいです。「ティム・バートン展」に行ったことがあるんです。ちっちゃい時から書いていた絵を映画に出しているみたいです。
「フランケンウィニー(2012)」も観たことないんだけど。
「ティム・バートンのコープスブライド(2005)」の主人公の幼少期だったような気がします。
イラストはよく見るんだけどね。
いいですよ、あれは。ふふふ。
監督だったらティム・バートンが1番好きなの?
そうですね。1番観ていましたね。ちっちゃい時からの愛着があります。
「博士と狂人」 博士と狂人が辞書を作る
監督:P・B・シェムラン、原作:サイモン・ウィンチェスター「博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話」
〈Story〉
19世紀のイギリス。
アメリカ人の元軍医である、ウィリアム・チェスター・マイナー(ショーン・ペン)は、何者かに狙われている幻覚から、男を銃で撃ち殺す。
逮捕され、裁判の末、精神病院に収監される。
ジェームズ・マレー(メル・ギブソン)は、独学で学者となり、言語に関する知識を披露し、オックスフォード英語辞典の編纂者となる。
辞書作成が難航、「Art」に関する記述が見つからない。
マレーは、ボランティアから単語を収集すると、マイナーから「Art」に関する情報が返ってくる。
マイナーの知識で、辞典作成の作業が軌道に乗り始める。
マイナーは、自分が殺した男の家族に、軍の年金を渡したいと依頼するが、未亡人イライザ(ナタリー・ドーマー)に拒否される。
やがて、イライザは子供達の為に、年金を受け取るべきと考えマイナーと面会する。
マレーは精神病院にマイナーを訪ね、友情を深める。
AからAntまでが記載された「オックスフォード辞典」が発売されるが、辞書編纂に殺人者が関わっていた事を新聞報道されてしまう。
「博士と狂人(2020)」は映画館で観ました。
面白いですか?
オックスフォード英語辞典を作った人たちの話。博士と狂人という2人が作った。マレー博士(メル・ギブソン)が英語の辞典を作るのを精神病院にいる殺人犯(ショーン・ペン)が手紙を通じて手伝う。
精神病院で、ですか?
マレー博士は、独学で勉強した人で、イギリスの権威のある学者たちから「なんでこの人を使うんや」みたいに言われる。でも、才能があって、博識なのがお話ししているところで分かる。学者が博士に言い負かされたりする。
あ、そうなんですか。
「じゃあ任せてみよう」ってなって、辞書を作ることになる。「最初は「A」から行きましょう」って。
「博士と狂人」って、そんな冬が関係ありました?
雪合戦をするシーンがあるんです。
雪が印象に残るシーンとかありますよね。雪降ってたなぁって。
マレー博士が行き詰まっていると、奥さん(ジェニファー・イーリー)が博士と子どもを連れ出して雪合戦をする。
タイトルとストーリーが意外でした。
狂人っていうから、サスペンス系かなって。。。
原作はドキュメントで、それを映画化した。(サイモン・ウィンチェスター著ノンフィクション「博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話」)
「カリガリ博士(1919)」みたいなやつかと思いました。
殺伐とした感じかな。
それを知っているのは大したもの。
「野性の呼び声」 雪の荒野の名作シネマ
監督:クリス・サンダース、原作:ジャック・ロンドン。
〈Story〉
カリフォルニア州。
大型犬バックは、飼い犬として快適な生活を送っている。
ある日、さらわれ、売り払われてしまう。
カナダ人に買われ、そり犬として働くようになる。
バックは、他の犬を観察し群れでの生き方を学ぶ。
先導犬スピッツと対立するが、闘って勝ち、バックは先導犬となる。
郵便の重い荷物を運ぶことになり、酷使されて弱りきった犬たちは、売り払われる。
バックは三人組家族に売却されるが、北の荒野での経験が少く、多くの犬を死なせながら無謀な旅を行う。
棍棒で打ち据えられるバックをジョン・ソーントン(ハリソン・フォード)が助け、三人組から引き離して保護する。
ソーントンとバックたちは金採掘の旅に出て金を見つけ出す。
バックは森の中で狼と交流する中で、バックは野性の本能が目覚めてくる。
ある日、ソーントン一行はインディアンたちに狙われていた。
「野性の呼び声(2020)」は、ハリソン・フォードが出ています。
昔は「野性の叫び(1972)」で、チャールトン・ヘストンが主演でした。
リメイクですか?
3回目かな。(映画化は6度目)
犬が主人公って言ってもいいですよね。
語り部になるんですか?
チャールトン・ヘストンの時はね、モノローグで「アラスカの大平原を一匹の犬が走っていた。その犬はどの狼よりも強く、どの狼よりも早く狼たちの群を引き連れていた」というナレーションから入るんです。その犬がバック。バックが氷の表面を掻いたら、氷の下にチャールトン・ヘストンの顔が埋まってる。
え!。埋まってるんですか? へー。見つけるんですね。
そこで亡くなっているのを知っていて会いに来る。大親友でね。
そこから物語が始まるんです。
でも、2020年の作品はディズニーでアットホームです。
児童文学でしたね。
アラスカから始まるんじゃなくて、もっと南の方のお屋敷の中で飼われている大型犬で、それがやんちゃをして。。。
お屋敷で飼われていた犬が連れ去られる。
活躍するのはアラスカのゴールドラッシュの時代。
アラスカで金(きん)が出て、みんなが金を取りにアラスカに行くんです。当時アラスカで移動するのは犬ゾリしかなくて、犬を連れて行く。
寒いところを走らされてね。
えー。かわいそう。
ぬくぬくと育っていたのに。
じゃあ前回とは始まりが違う。
始まりが違うけども、ジャック・ロンドンの書いた小説の物語通りですね。犬ゾリは、2列につないで、誰をリーダーにするかでソリの性能が変わってくる。犬の中でも誰がリーダーになるかがあるんです。
「俺が先頭を走る」みたいな感じですか?
バックの犬ゾリの能力を発揮して、リーダーになっていく。
それで、犬が主人公みたいな感じなんですね。へー、なるほど。面白そうですね。
20世紀FOXはディズニーに買収されて、タイトル画面が20世紀スタジオになっている。ファンファーレの画面に衝撃を受けた。FOXじゃなくなっている、「フォードVS フェラーリ(2020)」ではFOXだったのに。
「天使のくれた時間」 ある冬の朝、分岐した人生で本当の幸せを考える。
監督:ブレット・ラトナー。
〈Story〉
空港で、ジャック(ニコラス・ケイジ)は恋人のケイト(ティア・レオーニ)を残し、銀行での研修のためにロンドンに旅立つ。
13年後、ジャックはウォール街で金融会社の社長になったが、ケイトとは破局していた。
クリスマス・イヴの2日後には企業合併を控えていた。
帰路で立ち寄ったスーパーで、黒人の青年キャッシュ(ドン・チードル)が店員の対応に激怒し銃を突きつけていたが、ジャックの交渉により治る。
キャッシュは「これから何が起きてもあんたの責任だ」という言葉を残して去っていく。
翌朝、ジャックは見知らぬ庶民的な家のベッドで目を覚ました。
隣には別れたはずのケイトが寝ていて、2人の子供がいた。
高層マンションに戻っても警備員や友人は自分を知らない。会社は部下だった男が社長になっていた。
ジャックの前にキャッシュが現れ「答えは自分で探せ」と告げる。
この世界は海外研修を中止したもう一つの世界だと分かる。
やがて、ジャックは家族との生活が一番の幸せだと思うようになるが、キャッシュが再び現れ「煌きは永遠には続かない」と告げると、元の世界に戻りクリスマスの朝に目覚める。
明日に控えた企業合併の指示を出した後、ジャックがケイトを訪ねると、彼女はパリに引っ越そうとしていた。。。
ブレット・ラトナー監督が「素晴らしき哉、人生!」をモチーフに描いた作品。
キネ娘さんが冬に観たくなる映画は?
「天使のくれた時間(2000)」です。
ニコラス・ケイジの。
そうです、そうです。
どういう映画ですか?
ニューヨークのウォール街で銀行員をしているのジャック(ニコラス・ケイジ)が冒頭で空港で彼女と別れるんですよ。
「でも、ずっと好きだよ」ジャックはロンドンに行く。
別れちゃう。
そうなんです。
10年ぐらい経つのかな。ジャックは自分の夢を叶えて銀行の社長になる。仕事が大事という人になっている。
クリスマスの日も「大事な買収があるからって、ホリディなんてない」。
買収の日に目が覚めたら、違う家にいるんです。
そこに女の人が寝ていて、子供も居る。「これは誰の家や」って。子供が自分のことをパパって言うんですよ。それでおかしなことになって話が進んでいく物語。
パラレルワールドに迷い込んだみたいな感じかな。ファンタジーで面白そう。
その状況になる前に、コンビニで黒人の男の人キャッシュが店員ともめているんです。「俺は宝くじに当たったから換金してくれ」「そんなの嘘や」って店員さんに言われてキャッシュが銃で脅すんです。それをジャックが「僕がそのチケットを買うから」ってその場を収めるんです。そのキャッシュが物語のキーマンやったんです。目覚めた後にジャックが乗っていたフェラーリでキャッシュが来るんです。貧乏だったキャッシュとお金持ちのジャックが入れ替わってしまっている。
なぜそんな状況になったの。
それはっきり分からない。でも自分が見失っていた時間をそこで見つけるために、別の人生を体験することになる。
そっちの人生は空港で別れた彼女と結婚しています。
面白いですよ。
ニコラス・ケイジがハートフルな映画に出てるイメージがないです。先日、観たのがニコラス・ケイジ主演で「ウィリーズ・ワンダーランド(2021)」。廃墟の遊園地で人を襲いまくるマスコットキャラクターの着ぐるみ達をニコラス・ケイジがボコボコにする、クレイジーな作品。すごいギャップあるなって。
へー、そうなんですね。
幅が広いけどね。アットホームパパもするし、狂人的な役もするし。
「マッド・ダディ(2018)」では子供を襲う父親もしてました。
カメレオン俳優みたいな感じですね。
巻き込まれ方の普通の人みたいなのもするし。
振り幅がすごいです。この映画のニコラス・ケイジは結構ハートフルよりなんですか?
まぁ普通と思うよ。
変な役ばっか。
振り幅が広いっていうとゲイリー・オールドマン。役によって全然違うじゃないですか。同一人物か?と思うくらい。
体型を変えられるのはすごいですね。
ゲイリー・オールドマンは、チャーチル(「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男(2018)」)とかやっていたよね。
はい、ありましたね。
日本のメイクの人がチャーチルに作って。(辻一弘が、アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイル賞を受賞)
似ているんですか?
歴史的な人をやると、似せていくよね。
バットマンの時とかは良い警官。
最初に観たのは「レオン(1995)」の刑事。
薬を飲むときの演技。
決まってる感がすごい。
錠剤をガリって噛むときに、なんであのカットだけ真上から撮るんやみたいな。
最近やったら「Mank/マンク(2020)」でアカデミー主演男優賞ノミネート。
「フォレスト・ガンプ/一期一会」 なぜ冬に観たくなる?
監督:ロバート・ゼメキス。原作:ウィンストン・グルーム。
〈Story〉
アラバマ州グリーンボウ。フォレスト・ガンプ(トム・ハンクス)は普通の子供よりも知能指数が低い。
ただひとりジェニーと仲良くなる。
小学校でいじめの標的にされ逃げているうちに走れるようになる。
高校生になってフォレストは、俊足ぶりを見込まれ、1963年、アラバマ大学へ入学しフットボールチームに入る。
全米代表選手に選ばれ、ホワイトハウスでケネディ大統領に面会する。
ベトナム戦争が始まり、アメリカ陸軍に入隊。
アフリカ系アメリカ人バッバ・ブルー(ミケルティ・ウィリアムソン)と意気投合し親友となる。
軍の訓練は、命令されたことだけをこなせばよくフォレストは、優秀な兵士となる。
戦地でダン・テイラー中尉(ゲイリー・シニーズ)が指揮する小隊へ配属されるのだった。。。
「フォレスト・ガンプ/一期一会(1995)」って冬のシーンを全然思い出せないです。ベトナム戦争に行く話とマラソンしてる話しか思い出せない。
えーっと、冬は後の方で出てきます。
これね。CGにお金かけたので有名だったんですよ。
冒頭の羽のシーン?
そうです。フォレストがバス停で座っています。羽が足元からふわりと風で舞い上がる。
あそこはから、回想シーンが始まっていくんです。子供の時代から大人になって、バス停のところまでを振り返るお話なんです。
これってねアメリカの歴史が背景となるんですよ。
フォレストは最初ね、足が悪くて補助器具をつけているんですよね。そこに巡業でエルビス・プレスリーが来るんですよ。宿泊施設にしてるので泊まりに来る。補助器具をつけてるんで歩き方がぎこちない。それをプレスリーが真似て、歌うときに腰を振る。
(笑)
そういうことをするんですよ、フォレスト・ガンプの脚本って。
もうひとつCGで話題になったのが、過去のニュース映像との合成です。
放送されていたニュースですか?
ジョン・F・ケネディと話して握手するシーンがあります。あとはベトナム戦争に行ってフォレストが仲間たちを助けるんです。上官ダンを最後に助けるんだけどダンは負傷してしまうんですよね。ベトナムから帰還するとダンと、ベトナムでエビ漁をする。
あー、エビの話ありましたよね。自分でやるんですよね。
そうなんですよ。ダンとエビの会社を始めるんです。ベトナムで培った技術を使ってアメリカで始めると、それが当たって大金持ちになる。「もう使い道ないわ」って、最近出てきたリンゴのマークの会社に投資をして、
(笑)
また儲かっちゃう。上官のダンもフォレストのことが大好きで、年末に年越しをするんですよ。そのシーンが冬。
そんなところに冬があったんですね。
二人でバーで年を越す。(バックに「蛍の光」が流れている)
そのシーンはうろ覚えでした。
全然覚えてない。観たのが4年前くらいかな。原作も読んだんですけどね。
フォレストが大好きな彼女がベトナム戦争の反対運動をして、フォレストを演説させようとするんです。
映画ではマイクが故障してしゃべれないなかったっていう設定になっている。原作は「戦争なんか行くもんじゃない」って言うらしいです。
映画ではそのシーンが脚色されているんですね。
大人の事情。
ラストシーンで彼女に呼ばれて会いに行く。
フォレストも中年になっている。バス停でおばさんと出会って「どう行くんですか?」って訊く。「バスに乗らんでもいけるよ」と教えてくれます。
訪ねて行くと、彼女はちっちゃな男の子と暮らしているんです。男の子がテレビを観ていて、その横にフォレストが座ってね。後ろから見ると首を傾げる角度が一緒やった。
あー、はいはい。
最後がそのシーンですね。
マラソンを走っているシーンが印象に残っています。みんなが勝手についてくるのがおかしいですよね。
スマイルマークつけていたのが70年代の象徴ですね。
ほんとに歴史を追っているんですね。
ウォーターゲート事件の描写がありましたよね。
そうそう、ウォーターゲートホテルにフォレストが泊まっている時に「向かいのビルに泥棒が入ってるよ」ってフォレストが通報するんです。
面白いですよね。歴史の裏側では、彼の通報だった。
全部フォレストが絡んでる。
中国とアメリカのピンポン外交があって、卓球の選手としてフォレストが行くんです。なんでもできちゃう。
面白いですね。確かにエビとマラソンが。
ずーと、走っていますよね。ただ走りたかっただけでしょ。
みんなが勝手に勘違いして。
平和の主張だって、みんなが勝手についていって、誰もついて来なくなっても、まだ一人で走ってました。
荒野で。
監督がロバート・ゼメキス。「バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985)」の監督。
知らなかった。
このロバート・ゼメキス監督が手がけた作品で「ボーラー・エクスプレス(2004)」っていうアニメがあってこれはまさしくクリスマス。
そうだ。まだ観てないです。
ちっちゃい頃に家族で観に行ったのを覚えてる。
ゼメキス監督とトム・ハンクスは、よく組んでますよね。
「キャスト・アウェイ(2001)」ですよね。
「キャスト・アウェイ」も、クリスマスのシーンがあったかなって。
潜んでますよね、クリスマスって。
「探偵はBARにいる」 探偵は冬の寒さがよく似合う。
監督:橋本一。原作:東直己「バーにかかってきた電話」(シリーズ第2作目の映画化)。
〈Story〉
ススキノのバーに電話してきた近藤京子を名乗る女性から依頼があった。
調査の後、探偵(大泉洋)は、何者かに殺されそうになる。
しかも、近藤京子(街田しおん)はすでに死んでいた。
捜査中、探偵はクラブオーナーの沙織(小雪)と出会う。
彼女は殺された霧島の元妻であった。
その後の捜査で放火ビルは札幌の新興暴力団「花岡組」が地上げを掛けていたことが判明。
その新聞の記事には事件から約4日後に死体で発見された田口晃が主犯だった。
翌日、探偵は死んだ田口晃の両親の元を訪ねた。
田口の父親は鉱山事業が閉鎖して以来働かず、母親の僅かな収入源のみで家計は火の車だった。
息子の晃はそんな父を見かねて花岡組へ進んだ。
そして探偵は花岡組のファーム「則天道場」へと足を踏み入れると‥。
「探偵はバーにいる(2011)」ですね。雪のイメージがあったので。
北海道はどこだっけ?
すすきのです。
シリーズが3作ありましたよね。
毎回地元の暴力団が出てくるよね。
そうなんです。なんて怖い街なんだっていう感じです。
テーマが暴力団の抗争とか、殺人とか重いんですけど。
松重さんですね。
そう、首をコキって鳴らす、ふふふ。
でも物語はルパンみたいな感じですね、主人公の探偵がお茶目で、抜けてるけど、かっこいい。助手は松田龍平。
松田龍平は強いんですよ。敵がバットを武器にしていても大丈夫。
一人でボコボコにできるんです。空手の師範代。大学院生で正体が分からないです。
探偵の助手では無いかもしれない。助けてはくれる。
見捨てたりもしますよね。
それが大泉洋と一緒に北海道で活躍する。
大泉洋はいつも最初にひどい目に遭わされる。
雪に埋められたり、すすきののジャンプ台から裸で落とされるとか。かわいそうなんですよね。
漁船に裸で縛られているとか‥。
ありましたね。よく生きてるなあ。
原作が正統派ミステリーです。(原作:東直己「バーにかかってきた電話」)
3作とも冬ですか?
雪が積もっているから冬ですね。ぽちゃっとした町がいいですね。
「バーにいるから、なんかあったらここへ電話してきて」って。
バーが事務所代わり。
事務所は持ってないんですね。
携帯がないから、バーの名刺を渡すんです。
「グレムリン」 あなたにこんな贈り物はいかが。
監督:ジョー・ダンテ。
〈Story〉
発明家ランダル・ペルツァーは、チャイナタウンの骨董店で息子のクリスマスプレゼントを選んでいると、籠から歌が聞こえてきた。
中の生き物を気に入り、値段を聞くが、店主に「モグワイは売り物ではない」と断られる。
しかし店主の孫が、内緒でランダルにモグワイを売ってくれる。
息子のビリーにプレゼントする時に、ランダルは骨董店の少年と交わした「3つの約束」を説明する。
愛らしいモグワイにギズモと名づける。
しかし、偶然3つの約束は破られてしまい、その度に田舎町で不思議な事件が起こる。
その原因はギズモから分裂したグレムリンの群れによるものだった。。。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985)」と撮影セットを流用している。
クリスマスやったと思う。
プレゼントですもんね。
そうそう、まさにクリスマスです。主人公の男の子がプレゼントをもらうんです。それがとんでもない生き物やったっていう話です。
あー「グレムリン(1984)」ですか。ははは。
気持ち悪いよね。
可愛いんですけどね。
中華街で買って来る。「グレムリン2 新・種・誕・生(1990)」では、その中華街が取り壊されちゃうんです。
「水をやらないで」
そうそう「夜中にご飯あげない。水をあげない。日光を浴びさせない」だったかな。約束を破っちゃう。
増えちゃうんですね。
どうなるか、までちゃんと言ってくれないとね。
ホントですね。
増殖してね。
街がパニックになるなんて。
ギズモでしたっけ?
「2」が、とんでもなくふざけた映画やけど、監督のジョー・ダンテがやりたい放題。パロディの連続で。
「2」はどんなストーリーですか?
主人公が大人になって勤務先のビルに研究所があって、ギズモが捕らわれていて、主人公と運命の再会をするんやけど、またなんやらかんやらで増殖してビルがパニックになるっていう話。
また増えちゃうんですね。
ジョー・ダンテ監督はオススメ。
(対話月日:2021年11月30日)