AI (人工知能)の歴史
History of artificial intelligence
AI(人工知能) はいかに
概念となり、実現したのか。
17世紀
物理記号システム仮説
ライプニッツ、ホッブズ、デカルトらは理性的思考を体系化する可能性を探究。 ホッブズは『リヴァイアサン』で「推論は計算以外のなにものでもない」と記している。 ライプニッツは、論証を計算に還元しようと考えた。
哲学者たちの考え方から物理記号システム仮説が明確化していき、それがAI(人工知能)研究の指針となった。1703年
2進法を研究
ドイツの哲学者ライプニッツは中国の古典『易経』に関心をもち、六十四卦を配列した先天図に自らが編み出した2進法の計算術を見いだした。1920年
ロボットという言葉が誕生
チェコの作家カレル・チャペックは戯曲「R.U.R.」を著述。労働を代行する人工生命が登場し、反乱を起こす。1938年
2進数論理回路を実現した計算機
ドイツで電話のリレイのスイッチを用い2進数論理回路を実現した計算機が開発。1950年
「計算する機械と人間」
イギリスの数学者アラン・チューリングが機械は考えることができるのか? を問う。1950年
ロボット工学三原則
アイザック・アシモフのSF小説「われはロボット」を契機に考えられるようになった原則。「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」。1956年
「人口知能」という言葉がダートマス会議で披露
・科学者の間で認知される。ダートマス会議:人工知能という学術研究分野を確立した会議。 ・トランジスタを用いたUNIVACの計算機。1957年
物理記号システム仮説
カーネギーメロン大学 人工知能研究所のニューウェルとサイモンはであらゆる知的行動が記号操作に還元されるという哲学的主張を提唱。1950年代後半
第一次人工知能
コンピューターによる「推論」や「探索」が可能となり、特定の問題に対して解を提示できるようになった。1959年
IBM 7090
IBMの科学技術計算用第二世代トランジスタ版メインフレーム。1965年
ファジィ集合
アゼルバイジャンの人工頭脳学者ロトフィ・ザデーによって提唱された。集合に帰属する度合を表すメンバシップ関数により、曖昧な対象を定量化して扱う。1966年
ELIZA
アメリカの計算機科学教授ジョセフ・ワイゼンバウムがチャットボットシステムを発表。
文章から構文解析し、内部のデータベースを探索して応答する、人工無能とよばれる。これが進化したのがAppleのSiri、GoogleのGoogleアシスタント、AmazonのAmazon Alexaなど。1968年
HAL9000
アーサー・C・クラークが1951年に発表した短編小説「The Sentinel」を元に映画「2001年宇宙の旅」の脚本を執筆。そこに登場するAI(人工知能)の名称。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」
フィリップ・K・ディックが真筆したSF小説。記憶や感情を持つ人造人間が登場。1970年代
おもちゃの問題(トイ・プロブレム)
AI(人工知能)はルールの決まっている問題しか解けないと言われた。1979年
ネオコグニトロン
福島邦彦(大阪大学基礎工学部)がディープラーニングのような多層ニューラルネットワークを志向する先駆的研究を発表。1980年
ファジーコンピュータ
ファジー理論の実際的なマクロシステムへの応用が広く図られるようになった。1980年にデンマークのセメントキルン制御装置に応用。1980年代
第二次AI(人工知能)ブーム
日本では、政府による「第五世代コンピュータ」と名付けられた大型プロジェクトが推進。 エキスパートシステムの実用化。 人工知能に専門家のように「知識」をルールとして教え込み、問題解決させようとする技術。1988年
ニューロコンピュータ開発
富士通は学習により自らの機能を成長させる神経細胞コンピュータ理論を公開。1989年
LeNet
フランスの計算機科学者ヤン・ルカンらが「畳み込みニューラルネットワーク」の機構を提案。1997年
AI(人工知能)がチェスの世界王者に勝利
米IBMのコンピューター「ディープ・ブルー」がチェス世界王者、ガルリ・カスパロフ氏に勝利。2000年代〜
第三次AI(人工知能)ブーム
「ビッグデータ」を用いることでAI(人工知能)自身が知識を獲得する「機械学習」が実用化。2001年
映画「A.I.」
人間と同じ愛情を持つ少年型ロボットが登場。スタンリー・キューブリック原案、スティーヴン・スピルバーグ監督。2005年
「シンギュラリティは近い」
レイ・カーツワイルの未来予測の著書。シンギュラリティが2045年に起きると予測。2006年
オートエンコーダ
イギリスのコンピュータ科学・認知心理学の研究者ジェフリー・ヒントンらが機械学習において、ニューラルネットワークを使用した次元圧縮のためのアルゴリズムを提案。2011年
AI(人工知能)がクイズ番組で勝利
IBMのWatsonが、米クイズ番組「Jeopardy!」でクイズ王のケン・ジェニングス氏に勝利。Watsonは「迅速かつ正確に自然言語での質問に正解する」という人間の能力に対抗することを目指して開発された。90台のサーバで構成され、数百のカスタムアルゴリズム、数テラバイトのストレージ、数千のPOWER7プロセッサを搭載。2012年
AlexNet
物体の認識率を競うILSVRC(大規模画像認識の競技会)においてジェフリー・ヒントン率いるトロント大学のチームがエラー率17%と劇的な進歩。ここから、ディープラーニングが普及。2013年
AI(人工知能)が将棋のプロ棋士に勝利
第2回電王戦で山本一成氏が開発したソフトウェアPonanzaが佐藤慎一四段に勝利。2016年
AI(人工知能)が囲碁のプロ棋士に勝利
Google社のAlphaGoプログラムが囲碁のプロ棋士Lee Se-dol氏に勝利。2018年
世界最高速のスーパーコンピューター「Summit」
オークリッジ国立研究所とIBMは、世界最高速のスーパーコンピューターの完成を発表。2020年
富士通「富岳」
専用CPUとしてScalable Vector Extensionを追加したA64FXが開発された。