コロナの時にお家で楽しむ

第16夜「アクション映画/アジアン、洋風アソーテッド」Side-B

(Side-Aのつづき)

「ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー」クラッシュしたパトカー50台。

監督:ジョン・ハフ。
原作:リチャード・ユネキス。

〈Story〉
全米自動車競争協会のカーレーサーのラリーとメカニックのディークは新しいレース用の車を手に入れるために、スーパーマーケット店長スタントンの家から現金を強奪する。ラリーが前夜を共にした女メリーが入り込み、3人で逃げることになる。警察はヘリコプターで追跡するが、警察無線を傍受されていて、追跡はままならず、ヘリコプターも燃料切れで追跡から脱落。フランクリン部長は無線傍受を逆手に取り、別の場所を走っているパトカーに、ラリーら行く手を遮る指示をする。ラリーはトリックを見破って追っ手をかいくぐって、脱出できる踏切に向かった。

ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー

ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー(1974)」はシンプルな話ですね。主人公のメリーちゃんとラリーくんが銀行強盗をして、警察から逃げる話。カーチェイスがすごいのと、警官がヘリコプターで車を追いかけてきて、迫力がある。
最後が有名。2回目でもやっぱ度肝を抜かれた。

昔のカースタントの映画って、予告編で車を何台壊したかをアピールしていた。(「ダーティ・メリー」では、クラッシュさせたパトカーが50台)

マッドマックス(1979)」だと何人死んだとか。(スタントマンが2名死亡したというのは都市伝説らしい)

とりあえずステータスですね。

主演のピーター・フォンダはスタントマンなしで車を運転して、ぶつけまくっている。
これを日本語吹替版で観たかったんだよ。

吹き替えは、フルで入ってるんですか?

当時のノーカット版でフルで入っているのがポイントですよ。
当時の吹き替えってテレビで放映された時に作られてんよ。テレビ用にカットされてたら、その部分の吹き替えは無いわけ。
DVDはその部分だけが英語音声に切り替わるから、ノーカット版がいい。

昔のテレビのロードショーが2時間だと、コマーシャルが入るから、正味1時間20分くらいに短縮されてますね。

当時の放送分はテレビ局で音源が紛失したりもする。その時は録画ビデオを持ってる視聴者を全国から募集して、音源を探す。ビデオの状態によっては一部音声が収録できてないとか、ノーカットで吹替放送がされたけど、翌年はカット版で放送していたり。

吹替版が流行っていますよね。日曜ロードショー版、月曜ロードショー版とか。

あー、声優が違う。

WOWOWでも補完版がある。カットされているところを、補完しているんですね。

当時と同じ声優をまた呼んできた。

全部を一気に吹き替えを録って、テレビでカットしているのかと思っていました。

昔のテレビで観ていた人が、あの時の声優の声で聞きたいとか。ジャッキー・チェンはこの声とか。

ありますね。

ジャッキー・チェンは玄田哲章です。
余談ですけど、「ダーティー・メリー」の警部役が、ヴィック・モローです。8年後の「トワイライトゾーン/超次元の体験(1982)」の撮影中に亡くなっちゃう。ヘリコプターが上から落ちてきた。

事故ですか?

この人はテレビの戦争ドラマ(「コンバット!(1962-1967)」)で有名にでした。悪役もしていたけどね。(「暴力教室(1955)」など)

モローが出ている日本の映画もありました「宇宙からのメッセージ(1980)」。「スターウォーズ(1977)」のパクリのような和製スターウォーズです。
「ダーティー・メリー」主演のピーター・フォンダが好き、当時のアメリカの若者を象徴している。

70年代ですね。

反政府的。

ヒッピーがいた時代ですか?(1967年にサンフランシスコのヘイトアシュベリーへ全米から10万人以上のヒッピーが押し寄せた。1970年代後半にヒッピームーヴメントが終息する。)

他に70年を代表する作品に出ているんですよ。「イージーライダー(1969)」のラストは衝撃ですよね。大体この時代の映画って、あんな結末ばっかり。

「イージーライダー」が初めて映像編集と音楽(#Born to Be Wild)とを綺麗にマッチングさせたんです。

BGMですか。

そうです。音楽とのシンクロ。(映画とロックが初めてシンクロした作品)

独特なオートバイに時代を感じますね。

ハンドルがあんなに長くなくてもね。(パンヘッドタイプ)

映画史ではエポックですよね。若者が熱狂して。

中学校の時は社会の教科書に「イージーライダー」が載っていました。

どういう紹介ですか?

当時のアメリカの社会背景を現した。ピーター・フォンダとデニス・ホッパーですよ。

反体制ブームの魁(さきがけ)かもしれないね。自由を求める若者たち。(長髪とバイクが自由の象徴となった)

ピーター・フォンダはまさにそういう役ばっかりやったね。

Eくん

年間 120本以上を劇場で鑑賞する豪傑。「ジュラシック・ワールド」とポール・バーホーヘン監督「ロボコップ(1987)」で映画に目覚める。期待の若者。

キネ娘さん

卒業論文のために映画の観客について研究したことも。ハートフルな作品からホラーまで守備範囲が広い。グレーテスト・シネマ・ウーマンである。

サポさん

「ボヘミアン・ラプソディ」は10回以上鑑賞。そして、「ドラゴン×マッハ!」もお気に入り。主に洋画とアジアアクション映画に照準を合わせて、今日もシネマを巡る。

夕暮係

小3の年に「黒ひげ大旋風(1968)」で、劇場デビュー。照明が消え、気分が悪くなり退場。初鑑賞は約3分。忘却名人の昔人。

ピーター・フォンダ

「コードネーム U.N.C.L.E.(2015)」 冷戦化に米ソが手を組んだ

監督:ガイ・リッチー

〈Story〉
東西冷戦下の1960年代。アメリカ合衆国の中央情報局とソビエト連邦のソ連国家保安委員会は、国際犯罪組織を制圧するために手を組む。CIAのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)とKGBのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)が抜擢される。2人は、手掛かりとなるドイツの核兵器科学者のウド・テラー博士(クリスチャン・ベルケル)の娘ギャビー(アリシア・ヴィキャンデル)とともに、イタリアの大企業「ヴィンチグエラ」が目論む核兵器大量生産の阻止を開始する。U.N.C.L.Eは、”United Network Command for Law and Enforcement”、つまり「法とその執行のための連合ネットワーク司令部」の略。作中の架空の国際組織。

コードネーム U.N.C.L.E.

コードネーム U.N.C.L.E.(2015)」は、ヘンリー・カヴィルとガイ・リッチー監督やね。

これはドイツが舞台でした? ベルリン?

東西ドイツに分かれている時ですね。

アメリカのスパイ、ナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)とソ連のスパイ、イリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)が敵同士で、核兵器を作る博士が拉致されて、二人が手を組んで、その博士を助けに行くのが大まかなストーリーです。
最初は敵意をむき出しにしながら手を組むけど、同じ目的に向かっていくうちに、お互いの得意分野が見えてきて、仲良くやっていく。
博士と娘のギャビーちゃんが、長い間会っていない親子でキーマンになっています。二人のスパイがお父さんの居場所を訊きにギャビーに会いに行くと、彼女は居場所を知らない。ギャビーの伯父さんが資産家で、その知り合いのVIPたちから、博士の居場所が分かるんじゃないかって、ギャビーとスパイが乗り込むんです。
イリヤとギャビーが婚約者のふりをして、伯父さんに会いに行く。博士の居場所が分かって。ギャビーに情報を聞き出しに行かせて、イリヤが遠くで聴いていると、ギャビーちゃんが
「自分はスパイだ」って博士に打ち明けるんですよね。

スパイやったんや。

イリヤは、やばいって逃げる。
ギャビーのボスたちが知った上でやらせていて、いろんな国のスパイの思惑が交錯していて面白いんですよね。

女の子は別の国のスパイ?

MI6のスパイ。協力しているふりをしていて、それも作戦のうちなのが面白いです。

アメリカはCIAですか。

そうです、そうです。

ロシアは当時のKGBですよね。

スタイリッシュでしょ。

劇場で見た時に、最初のワーナーブラザーズのロゴが出てくるところがおしゃれ。

背景が赤で、その当時の音楽が流れる。

すごくおしゃれな音楽。

ワーナーのロゴは作品によってアレンジされるから面白い。

終始おしゃれです。

「コードネームU.N.C.L.E.」ってのはどういう意味? 

ギャビーの伯父さんを狙いに行けっていうコードネームかな。

伯父さん作戦。ヘンリー・カヴィルはスーパーマン(「マン・オブ・スティール(2013)」)で、アーミー・ハマーは、「君の名前で僕を呼んで(2017)」の人。

そうです。すごく背が高くて、端正な顔立ちでソ連のスパイが似合っているなと思いました。精神的に病んでいる設定。

ちょっと神経質。

すぐにプチっと切れちゃう。「ローマの休日(1953)」で有名なイタリアのスペイン広場にギャビーと新婚旅行のフリして行くんです。路地裏で不良に絡まれるんですよ。「時計を寄越せ」と言われて、「旅行客のふりで絶対に反撃するな」って言われていたのに、不良に煽られて一瞬で、ぼこぼこにしちゃいます。

性格が正反対だね。この二人。

アメリカの方は、ナポレオン・ソロです。

テレビドラマが原作。(「0011ナポレオン・ソロ(1964-1968)」)

プレイボーイ。

アメリカ人とロシア人の典型やね。

複雑な登場人物と、どんでん返しがあるんで、ストーリーを追いかけるのが難しかったです。

スパイ映画ってさあ、いろんな国、いろんな登場人物の顔を覚えるのに必死。

初めに観た時は当時の世界情勢が複雑なのと、どの組織に所属してどう敵対しているのか、頭に入るまでに時間がかかる。

何回観ても、「あーなるほど」って面白い。
撮り方が面白かったです。車の中で音楽が流れているんです。声も環境音も入らないアクションシーン。入江でスパイ二人がボートで逃げていると、ソロの方が落ちちゃう。ソロは陸に上がってくつろぎだして。

近くの車に乗り込んで、勝手にカーラジオ付けて、相棒のイリヤがボートで逃げ回っているのを見ながら、車内に置いてあったサンドイッチを食べている。

音が入ってないのが余計シュール。

曲だけってことね。

その曲がヒロシの歌です。

ピン芸人のヒロシが登場した時の曲。(ペピーノ・ガリアルディ「#ガラスの部屋」)

メロウ。

ちょっと哀愁。

ゆったりして、前のフロントガラス越しに激しいボートチェイス、波がバッシャーって。

映画でしか表現できないね。

「イップ・マン 序章」 カンフーの伝承が始まる。

監督:ウィルソン・イップ
脚本:エドモンド・ウォン

〈Story〉
1935年、広東省仏山市。泰山武術館の主、廖(りょう)は仏山最強と言われる詠春拳の葉問(イップ・マン)と戦って武名を高めようとするが敗北。北部の拳法家、金も葉問には敵わなかった。1938年10月、仏山は日本軍に占領され、葉問邸は司令部として使用される。一家は借家に引っ越し、その日の食べ物にも事欠く生活となる。妻は病に倒れ、葉問は土方仕事に就く。日本軍の兵士が現場に現れ、空手を学んでいる兵士の組手の相手を探していた。葉問は林の姿が見えないのをいぶかしみ空手との組手に自ら志願する。林がここで殺された事を直感し、10人を相手に勝利する。自宅にまた李が現れて連れてきた佐藤が息子に銃を突きつけ、妻に手をかけたので葉問は攻撃し気絶させる。三浦は、葉問の反抗は死に値するが、格闘技の師範となれば命を助けると持ちかける。葉問は武術を知りたければ自分と戦うように提案。仏山の町中で「文化交流」として葉問と三浦の試合が催されることとなる。

イップ・マン 序章

「イップ・マン」はシリーズですか?

イップ・マン 序章(2008)」がシリーズの一番最初。
全体は4作品あって、「イップ・マン 序章」「イップ・マン 葉問(2010)」「イップ・マン 継承(2015)」「イップ・マン 完結(2019)」で終わって、「継承」の敵役の武術家が主人公のスピンオフで、マックス・チャン主演作品が「イップ・マン 外伝マスターZ(2018)」。

これも面白かった。ミシェル・ヨーが出ている。

デイヴ・バウティスタも。

そうそう。デイヴ・バウティスタは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014)」。

肌が灰色の人(ドラックス役)。

「序章」で初めてドニー・イェンを観たんです。それから、ハマった。

僕はスターウォーズの「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016)」で初めて、かっこいいアジア系の俳優が出ていると思って。

元々「序章」で有名だったんですけど、それは中国のカンフー映画だった。
国際的な知名度が上がったのは、「ローグ・ワン」から。このすごいアクションをする人は誰やって、そこから「イップ・マン」のシリーズを観に行く人が多かった、私がそうですけど。

ムーラン(2020)」も出ていましたよね。「レイジング・ファイア(2021)」も。

燃えよデブゴン TOKYO MISSION(2020)」ですらかっこいい。

サモ・ハン・キンポーの「燃えよデブゴン(1978)」が元。

サモ・ハン・キンポーは「イップ・マン」のシリーズも出てくるよね。

2作目の「葉問」に出ました。1作目は役者としては出ていないんですけど、アクション監督でした。

1作目に日本人が出ていますよね。

池内博之。
「序章」は、1930年代の中国の広東省の武術が盛んな町で、そこに武術の道場がいっぱいあるんだけれども、一番のカンフー「詠春拳(えいしゅんけん)」の使い手の「イップ・マン」っていう実在の人物が主人公。この人は人徳者で、資産家でいい生活している。

ブルース・リーの師匠よ。

あ、言っちゃった。

はははは。

伏せていたのにね。

これ言いたかった? すいませんね。

最初は裕福な暮らしをしていて、働く必要がなくて、豪華なお屋敷で妻と子供と住んでいて、本人は武術の達人だけど弟子を取るつもりがなかったから、道場は開いてなかった。
道場破りが出て来て、町に新しく道場を開くために、町中の武術家を負かしている。その人を倒すのが最初のパート。
そこから、日中戦争後の、日本軍の支配下になる後半のパートが始まって、自分のお屋敷や資産を全部軍に接収されちゃって、他の市民と一緒に貧しい生活をする。最初は家にある物を売って食べ物を手に入れてたんやけど、それもなくなってしまって、家族を食べさせるために石炭の採掘現場で肉体労働をする。
そこに日本軍との仲介人の李がやって来る。将校閣下様が空手の組手になる人を探していて、相手をしてくれたらお米を渡すって言う。いろんな人を集めては、連れて行ってしまう。行ってみたら、空手の使い手たちがいっぱいいるんだけど、勝ったらお米1袋をもらって帰れる。
将校閣下の配下にいる佐藤が小悪党で、ひどい人に描かれている。

そういう反日がありますよね。

徹底的に空手で負けてしまって帰ろうとする人を、いきなり拳銃で撃ち殺して、「負けたのに、おめおめと帰ろうとして」と言う。

ひどい。

イップ・マンが、自分の町に一緒に住んでいる仲間が占領してきた日本人に殺されていることに、怒っちゃうんだよね。穏やかで、争いごとが好きじゃないのに、乗り込んでいって10人の空手家たちを相手に1人で戦う。
その時は、空手家たちを全員倒したんだけども、将校閣下が強い武術家がいるって目をつけて、探させるんですけれども、イップ・マンは戦いたいわけじゃない。自分の家族がいるところに、佐藤が入ってきて、イップ・マンを無理やり連れて行こうとする。家族が危険な目に遭ったからイップ・マンが抵抗して、佐藤に歯向かってしまうんです。
占領されている中国人と李は身分の差があるから、歯向かう時点で命の危機があるので、家族全員で姿をくらますんやけど、結局見つかってしまう。最終的に将校閣下と一対一の対決をすることになる。
その将校閣下の三浦を池内博之が演じている。

この人、ジャッキー・チェンの映画にも出てました。「レイルロード・タイガー(2016)」。宇宙戦争時代の日本が悪役で出てくる作品。

そういうイメージがついちゃったんですか?

はまってしまったんやね。でも、それで役がもらえている。

イメージ的な。

ドニー・イェンの「序章」で痺れるのが、佇まい。

優雅で品がある。

出てきた時はね、静かで、強そうに見えない。

すごい人格者だよ。

武術は好きだけど争いごとはしたくない。
戦わないといけない場所に追い込まれるドラマ作りが上手い。

勝手に道場破りが来るしね。

望んでないんですね。

仲間を守るためね。

4作品ともあんまり戦いたくないですよね。

アメリカ行ったら、同郷の人たちがいじめられている。(「完結」)

強くなりたいんではない。勝手に挑まれちゃう。

拳法は流派としてはきちっと継いでいく。

木人椿(もくじんとう)見たことある? 
こうやって特訓する。カクッカクッカクッて。

人ってことですか?

型の練習をするために組手の人の代わりに、木の柱に打ち込みをする。

見たことない。

アマゾンで売っているよ。
ジャッキー・チェンの映画では、これが動くやつが出てきた。めちゃくちゃやけど。(「少林寺木人拳(1976)」)

木人椿のシーンは「継承」に出てきたシーンがすごく好きです。

吹き替えは、大塚芳忠さんがいいんですよね。じゃない時は、はー(ため息)って。

中国映画って国策っぽいところもありますよね。

「序章」は、その色が強い。ナショナリズムがあって「葉問」も敵の人がイギリスでしたっけ。

ボクサーでした。外国人。3作目「継承」は違いますけど。(中国の敵にアメリカ人がいるが終盤の敵は同じ詠春拳の使い手の中国人)

「継承」が一番見やすい、私的には。
街の中の小さいお話。息子の通ってる小学校が地上げ屋に脅されちゃう。

小さくなりましたね。この機にいいかもしれないです。

ドニー・イェン

「アジョシ」 青年の正体が判る時。

監督・脚本:イ・ジョンボム

〈Story〉
チャ・テシク(ウォンビン)は、質屋を営んでいる。アパートの上階に住む少女チョン・ソミ(キム・セロン)はテシクを「アジョシ(おじさん)」と慕う。ある日、ソミが鞄を盗んだともめているところにテシクが通りかかると、ソミはテシクをパパだと指差すが、テシクは無視して立ち去る。ソミの母親は組織から麻薬を盗み、ソミと母親が拉致される。麻薬取引や臓器売買の元締めマンソク兄弟は母子を人質にし、テシクに麻薬の運び屋を強要する。

アジョシ(2010)」もね、観てほしい映画ですね。
アパートの1階でね、質屋さんをしている青年がいるんですよ。小さい窓口だけがあって、物を渡してお金を受け取る。
そのアパートには母娘が二人で住んでいる。その青年は人と口をきかないんで、「近寄ったらあかんよ」って言われている。ちょっと怪しい。娘ソミは小さくて、青年とだんだん仲良くなって、勝手に質店に入って、お喋りをするようになるんです。
ソミが友達のバッグを盗んじゃって、「カバンを盗った、盗ってない」って責められてる所を、遠目に青年が見ていた。ソミが青年に助けを求めようとするんだけど、青年は無視して行ってしまうんですね。
「自分は貧乏で、誰も口きいてくれない、おじさんまで口きいてくれない。口をきいてくれないけども、おじさんのことは嫌いにはならない。おじさんのことを嫌いになってしまうと、好きな人が誰もいなくなってしまう」。境遇が似ているからか、心が通じていく。
お母さんは、クラブで働いてるんですね。お金がないので、そこの組織の麻薬を盗っちゃうんです。
組織の部下たちが、アパートに乗り込んできて、母娘が連れ去られる。青年のところにも組織の連中が乗り込んで来て、「質種を全部見せろっ」て、拳銃で脅すんですけど、威嚇で発砲されても青年は動じない。
そして、青年はソミを助けに行く。
青年が一体何者なのかが、前半では伏せられているんですね。
後半は奪い返しに行く話です。警察も絡んできて、知らない男が暴力団の事件の中にいるぞって、一体何者かと調べようとするけども、調べても正体が分からない。アメリカのCIAを通して調査をすると、正体が分かってくる。
ソミを救い出すことができるのか? この青年は一体何者なのか? というストーリーです。

一見、人畜無害そうな男が、実は恐ろしいやつ、「ジョン・ウィック(2014)」みたいな。(「ジョン・ウィック」シリーズの監督チャド・スタエルスキと脚本家デレク・コルスタッドによるハリウッドリメイク企画もあった)

アクションも激しいシーンがあちこちにあって、例えば廊下を走って、窓ガラスを突き破って地面に着地するまでを、カメラがワンカットで追いかけていくんです。

凄いなそれは。

見せ場をタメるような編集じゃなくて、アクションの中で一瞬でそれをやっちゃう。
アクション映画としても高度だけど、最後はほろっとしてしまう、いい作品ですよ。
キャラクターの作り方もうまい。強敵が一人いるんですよ。ソミはその人のおでこの傷に絆創膏を貼ってあげる。捕まってるのにね。
えぐい描写もあるんです。日本ではそこまで表現しないような。斧を持って車の後を追っかけて走っていく。

ジャック・ニコルソンみたい(「シャイニング」で斧を持って追いかけてくる父親役で有名な俳優)。

なかなかこんな映像は日本でやらない。

この女の子との関係がどうなるか。

青年がどういう過去を持っていたか。人生の裏側があって、なぜひっそりと暮らしてるのかが、だんだんと分かってくる。
韓国映画の中ではなかなかいい作品だと思いますよ。(第31回青龍映画賞:最多観客賞)

「エクストリーム・ジョブ」 アクションという名のコメディ。

韓国のアクション映画で挙げようかと思ってたんですけど、夜は潜入捜査をして昼はチキン屋で働く映画。

エクストリーム・ジョブ(2019)」

面白かったですよね。あれもリメイク版が、決定している。

コメディね。

張り込み捜査のために敵の目をくらますために昼はチキン屋さんをみんなでやって、夜は潜入捜査官。個人的には、韓国映画は、日本の作品よりずば抜けてると思いますね。

脚本が練られてる、関係付け方がうまい。やる時は突き抜けて、アクションシーンだったら、痛いなって思わせるような暴力描写があったり、笑かすところはしっかり笑わせて。

生々しいやつとか本当すごい。

韓国映画のアクション系って、そういうノルマでもあるのかっていうぐらい新しい拷問シーンを生み出す。

はははは。

「ミッドナイト・ランナー」では、主人公2人が捕まってる時に、あの上半身裸にされて宙吊りにされてるところがあって、足がつくかつかないか、絶妙な高さで吊り上げられている。

あれ落ちた時、痛いですよね。

すごいでしょ。そんなアクションして痛そうなアクションもうまい。

「ふっ」て、落ちていくのがリアルですよね。

韓国映画って女の人でも子供でも容赦ないですよね。

痛みありきなのかもしれないですけど。

すぐ手を出すイメージがあります。ドラマでも。

そういうお国柄なのか?

日本みたいな、規制がまだないのかも。

「アジョシ」も痛そうな拷問シーンがあるのかなと思ってたんですよ。

拷問シーンはないですけども、最後の乱闘は強いだけじゃないんで、やられながら倒していく。そこは痛い。

「フレンチ・コネクション」 フリードキン渾身のアクション作品。

監督:ウィリアム・フリードキン
脚本:アーネスト・タイディマン
原作:ロビン・ムーア

〈Story〉
ニューヨーク市警察本部 薬物対策課で“ポパイ”とアダ名されるドイル刑事は相棒ルソーとナイトクラブに飲みに出かけると、有力マフィアの組長夫妻たちとテーブルを囲む若い夫婦がいた。不審に思い、その夫婦を捜査。夫のサル・ボカがニューヨークの麻薬取引の元締めで大物マフィア・ワインストックの舎弟であった。近いうちにフランスとのヘロインの大口取引を任されていた。マルセイユの黒幕のアラン・シャルニエがニューヨークを訪れていることが判明。シャルニエは追及の手が迫ることを恐れ、殺し屋をドイルのもとへ差し向ける。

フレンチコネクション

フレンチ・コネクション(1971)」も、映画史でも、カーアクションとしてもエポックです。(アカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、編集賞を受賞)

マジで許可取らずに街中で逆走してました。

えー、怖い。

規制をしていないって。

電車を車で追いかけるシーンね。

実際にいた暴力刑事がモデルやけど、この人がヤクザもんで、とんでもない役柄。

通称ポパイ(ジーン・ハックマン)。ポパイみたいな顔してる。

ポパイに似ている役者さん?

パトカーを運転しても、信号無視は当たり前。

「エクソシスト」を撮った監督ですよ。

ウィリアム・フリードキン。カーチェイスがすごいです。殺し屋が乗った電車を追う。

高架の上を電車が走って、その下を車で追いかける。

「フレンチ・コネクション」の意味は、トルコからフランス経由でアメリカへ入ってくる麻薬の密売ルートのこと。主人公の暴力警官ポパイがその相棒と一緒に麻薬の密売組織を捕まえようという話。(1961年に発生した実在の事件がモデル)

「フレンチ・コネクション」が二人組み刑事という型を最初に作った。いい刑事と悪い刑事、ここから後の映画は全部このスタイル。

そうなんですね。

それまでの映画は刑事ってみんな一匹狼やったね。

ブリッド(1968)」とか。

一種の発明。

実際の刑事捜査はこうだって見せたので、追従したのかもしれない。

いい時間になりましたね。

では、ここまでにしましょうか。

ジーン・ハックマン

(対話月日:2022年4月13日)