今夜からサポさんが加わって4人となりました。
シネマな輪が広がっています。
そして、皆様がひとつでも観たい映画が見つかれば嬉しいかぎりです。
「ミッドナイト・ランナー」の話をしよう
監督・脚本:キム・ジュファン
〈Story〉
行動派ギジュン(パク・ソジュン)と頭脳派ヒヨル(カン・ハヌル)は、警察大学の学生。ある夜、2人は外出先で女性の拉致事件を目撃する。学んだとおりに警察に通報するが、警察は別の誘拐事件の捜査を優先。女性の命が危険にさらされていると考え、独自に捜査を開始する。
サポさんは、よく韓国映画を観ていますか?
そんなに多くはないですね。有名なやつだけ。全体で見たらハリウッドの方が多いかな。
「ミッドナイト・ランナー(2017)」の名前は聞いていたんですけど、観てなかったので、思っていたのと違う。「何だ、走るってどういうことだろう? かけずり回って捜査をすることやったんか」って。
最後に教授が
「こんだけ夜中に駆け回ってくれる人がいないでしょう」と言っていたけど。
ストーリーをダイジェストで言うと、警察学校に入りたい2人の男の子が対照的で、一人は勉強派、もう一人は行動派の対角線上にいる2人が、最初は警察学校入学のための訓練を受けて、髪を切ったりとか、山を走ったりする。その2人が段々と仲良くなって、ソーセージをもらったり、山で足を挫いたのを背負ってもらったり。
2人とも無事に警察学校に入って、しばらく何年か経つと、息抜きに、
「外出をしたいです」って言って遊びに行くと、女の子の誘拐事件を目撃してしまう。
この2人が果たして、学生の身でありながら、どうするのかっていうアクション映画。
まだ、警官じゃないんですよね。
そこがお話のミソにもなってくるし、捜査権も無いしね。
2人で彼女探しにクラブに行く。バカバカしいところが好き。ナンパしようとしても全然上手くいかなくて
「給料低いのになんで警官やっているの?」って。
妙なリアリティが。
主演のひとりのパク・ソジュンって、すごく最近の女の子に人気じゃない?
むっちゃ有名です。「梨泰院(イテウォン)クラス」。
「パラサイト 半地下の家族(2019)」にも出ていたんですね。
そう、金持ちのボンボン役でした。
お友達役。
家庭教師を依頼する人。
最近やったら「ディヴァイン・フューリー/使者(2019)」っていうエクソシストの映画を観ましたね。パク・ソジュンが悪魔払いを演ってました。
もしかして同じ監督?
あ、ほんとだ。キム・ジュファンが監督・脚本も務めた。
「ミッドナイト・ランナー」は有名人がカメオで出ていました?
僕は全然知らないですけども、遊びに行ったクラブで、すれ違う。
2PMですか? アイドルの。(チャンソン)
あれは本人?
出てそうですね。
エンディングのクレジットで顔と一緒に名前が出ていたんで、有名な女優さんも出ていたって思いながら観ていましたけど。
ちなみに僕はあの子が好きです。主人公2人の悪友。2人が「この服貸してくれ」って。(二人が息抜きに警察学校から外出する時にオシャレな上着を貸りる))
同級生の。
あの子が面白かった。
無くした上着を
「弁償しろ」って言いかけて、
「もういいわ」って。
いい人ですよね。ふふふ。
あの人もいいでしょ。メドゥーサも。最初は鬼教官でした。
そうそう
「足をくじいても誰も助けなかったのか?」って言って。(トレイルランニングで足を挫いたヒヨルを助けたのはギジュンだけだった)
スカッとしますね。
ああいう展開はベタやけど好き。
メドューサ先輩が車のナンバーをちゃんと調べてくれてね。
異動していたよね、大学から交通監視センターに。
前半が、学校の話で、後半が事件に出会う。前半と後半で展開が変わるんですよね。
事件としては、ブラック。でも、からっとして、よかったです。
あの辺りが韓流というか。
日本じゃない。
本当にやってんですか? 卵子ドナー。
ありそうな気もするね。
最初のきっかけの事件から、だんだんと事件が大きくなっていくのが、面白いですね。
サポさんは印象に残ったところはありました?
序盤で、このまま警官になっていいのかなと友達と話していたけど、実際に誰かが誘拐されているのに、自分達が捜査で力が出せなかったから、真面目に授業を受けて、毎日訓練するのがいいなって思って。
青春物語みたいな学園生活が、後半のアクションや捜査する意味に生きている構成が上手いなって思いますね。
習ったこともちゃんと後半出てくるし。
「実際に効いた」って。
習っている時は‥。
「やっ!」っみたいな。ふふふ。
一回負けちゃうのがいいですね。そこからの成長が。
1回逃げられちゃってね。
被害者が攫われる時にトッポギを落としていたね。ビニールに入って、真っ赤な。
最初は普通にカバンを落としたのかなって思って。現場に戻ったらカバンがあるはずだから、そこに身分証とか入っているんじゃないかなって思ったら、トッポギ? ふふふ。
落としたのが見えていたもんね。ずっとほったらかしていたし。
トッポギって、棒餅の甘辛煮だって。お餅なんだ、あれ。食べたことあるの?
あります。
真っ赤なのは、辛いの?
味噌みたいで、あんまり辛くない。
あれだけで、どこの誰かを特定するってすごいね。
最初の捜査の基本が、被害者・証拠・現場。
僕が好きなのが、耳かき店に行って、一方では見張っていたパク・ソジュンが警察を挑発して、走り回って。あの対比がすごい、面白かったです。ここが一番好き。
見張っていると、向かいのセブンイレブンで、おいしそうにインスタントラーメンを食べてるサラリーマンを見てしまう。ソーセージも食べている。それにつられて同じように食べていたら警官が見回りに来る。
「警察だ」って、あのタイミングで来るかって。
訓練生やから、あそこまで走れる。
警察が追いつけてなかったですもんね。
事件の最初に大学の先生に
「犯人を捕まえてください」って助けを求めたら、
「捜査開始まで時間がかかるから、すぐに対応できない」と言われて、被害者がいるのに、迅速に動けないのでどうすんやって思っていましたけど。
教育では警察の本分を教えられるけど、実際に現場に出るとこういうことがある、その落差や優先順位がある。
女性が目の前で誘拐されて慌てて、事件発生から最初の7時間(クリティカルアワー:被害者の生存率が極端に下るまでの時間)が大事なので、警察署に駆け込むと、
「人手がない」って言っているけど、他のお金持ちの人の誘拐捜査にみんな行ってしまう。
通報しに交番に駆け込んでも、スタンガンで撃たれて、かわいそうに。
「まず本人証明をしてもらう」と。
「ちゃんと手続きを踏まないと」って、あそこもじれったかった。
自分らで捕まえたら退学させられそうになる。初めの2人で捜査しようって言って奮闘しているところは好きでした。
物語の最後は教授頼みで、なかなか教授も良かったね。
僕は主演以外の登場人物の掘り下げがされてないかなって、メドューサ先輩や学校の友人みたいな面白いキャラはいるけど、そんなに活躍シーンがない。悪役も、掘り下げて欲しかったかな。
最初見た時はね、脚本がよくできているなあと思ってね。学校だけの話でもなくて、事件だけの話でもなく、前半と後半があって、そこでまとめようと思うと、Eくんの言うように、端折っていかないとまとまらない。
納め方って綺麗ですよね。いろんなシーンが盛り込まれているわりに分かりやすい。
これを観てほしいなと思ったのは、最後の爽快感が良かったから。
最後に助けてもらった女の子が来て、ハグをしていたじゃないですか。あの時も何かかわいいなと思いましたけどね。二人とも喋りたい。
そこら辺もうぐっとくるよね。
「忠・誠!(シュウセイ、韓国警察の敬礼)」です。
この脚本がいいなと思って、海外に売れると思っていたんですけど、思ったほどアメリカ映画にならないな。
ハリウッドでやって欲しいですね。
これって、日本でドラマをやっていたんですよね。
日本かアメリカで映画化されるかなと思っていたんですよ。そしたら映画じゃなくて、ドラマ(「未満警察 ミッドナイトランナー」)になって、中島健人くんが、眼鏡の方で、肉体派がキンプリの平野紫耀くん。
映画にしろ、ドラマにしろ、韓国の原作とか最近多くないですか。「シグナル 長期未解決事件捜査班(2018)」とか。
「シグナル」のオリジナル(2016)は古いですね。アメリカのドラマで「グッド・ドクター 名医の条件」がすごく面白いですけど、それもオリジナルは韓国の「グッド・ドクター」です。日本でも、ドラマ化(「グッド・ドクター」)されたけどね。よくアメリカ・韓国・日本の間で脚本が流通しているね。
日本のオリジナルでは「ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017)」の中国版(「ナミヤ雑貨店の奇蹟 -再生-(2017)」)がありましたね。東野圭吾が中国で人気で、その影響でリメイクされた。
「容疑者Xの献身(2008)」も韓国版(「容疑者X 天才数学者のアリバイ(2012)」)と(中国版「嫌疑人X的献身(2017)」)がありますよ。
夢枕獏の「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎(2017)」もしてなかった?
そうそう日中合作やね。
染谷将太くんが出ていたやつ。
阿部寛がアベ役で出てくる、阿倍仲麻呂でしたっけ。
歴史上の人物をいじって、中国が映画にするんやね。
「パラサイト」とか「新感染」もハリウッドでリメイクされる。
日本の漫画も映画化されたり、ハリウッド版でもありますよね。
ゲームとかね。
韓国の「オールド・ボーイ(2003)」は日本の漫画じゃなかったですか?
日本の漫画を韓国で映画化して、アメリカ(2013)でもリメイクしたね。(原作は「ルーズ戦記 オールドボーイ」土屋ガロン(作)、嶺岸信明(画))
Eくん
年間 120本以上を劇場で鑑賞する豪傑。「ジュラシック・ワールド」とポール・バーホーヘン監督「ロボコップ(1987)」で映画に目覚める。期待の若者。
キネ娘さん
卒業論文のために映画の観客について研究したことも。ハートフルな作品からホラーまで守備範囲が広い。グレーテスト・シネマ・ウーマンである。
サポさん
「ボヘミアン・ラプソディ」は10回以上鑑賞。そして、「ドラゴン×マッハ!」もお気に入り。主に洋画とアジアアクション映画に照準を合わせて、今日もシネマを巡る。
夕暮係
小3の年に「黒ひげ大旋風(1968)」で、劇場デビュー。照明が消え、気分が悪くなり退場。初鑑賞は約3分。忘却名人の昔人。
梨泰院(イテウォン)クラス
原作:クァンジン(朝鮮語版)のウェブ漫画『梨泰院クラス』、演出:キム・ソンユン。高校生のパク・セロイ(パク・ソジュン)は父親ソンヨルの転勤により田舎に引っ越す。 転校した高校で、韓国最大外食企業・長家(チャンガ)グループの御曹司チャン・グンウォン(アン・ボヒョン)と出会う。 セロイはグンウォンの傍若無人な言動に我慢できず、殴って退学となる。そのことで、父親は20年間勤めていた長家を辞めることになる。 さらに、グンウォンの轢き逃げ事故でソンヨルが死亡。父を亡くしたセロイはグンウォンに暴力を振るい、刑務所に収容される。刑期を終えたセロイは長家グループを倒すと心に決め、梨泰院で「タンバム」という小さな居酒屋を開く。
「マッハ!!!!!!!!」 ムエタイは、拳、脚、肘、膝。
監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
脚本: スパチャイ・シティアンポーンパン
〈Story〉
村の守護神の仏像「オンバク」の頭部が盗まれる。
これを取り戻すために、ティン(トニー・ジャー)は村の代表としてバンコクへ向かい、同郷出身のジョージ(ペットターイ・ウォンカムラオ)と協力してギャング達と闘う。
「マッハ!!!!!!!!」はタイのムエタイアクション映画なんです。主演はトニー・ジャーです。
最近、「モンスターハンター(2020)」に出てたよ。
ネームバリューのある映画で言うんだったら「ワイルド・スピード SKY MISSION(2015)」が一番。「ワイルド・スピード」7作目。敵役で、あっさり倒されてしまう。
タイの人?
トニー・ジャーはタイの人です。
世界的にいろんな映画出ていますよね。中国の映画やアメリカ。
「マッハ!!!!!!!!」は3まであるんです。1作目が一番製作時間をかけている。5年以上、構想も含めて。
「マッハ!!!!!!!!」の予告編をよく見た。すごいアクションする。
ワイヤーとスタントマンとCGと早回しを使わないという売り文句です。実際にはワイヤーを使っているアクションがカーチェイスシーンにあるんですけど、トニー・ジャーのアクションに関しては使ってないらしいです。ムエタイの技と身体能力だけですね。
ちょっと間違えたら、すごい大きな事故が起きるようなシーンを予告編で観た。
足に火をつけて蹴るんですよ。
凄い。本当に燃やしているんですか。
燃やして、すぐに消すんですけど。
ジャッキーもそんなんしています。
オートバイを使っていませんでした?
バイクに乗るところもあります。チェイスシーンで有名なのはタイのトゥクトゥクっていう乗り物で、シートベルトもつけないで半分裸の車に乗って、街中をチェイスするんで、すごく怖いんですよ。
「ドラゴン危機一発(1971)」で出てきましたよ。たしかタイが舞台だった。
「ドラゴン×マッハ!(2015)」はシリアスでしたけど、「マッハ!!!!!!!!」はコメディ寄りですか?
コメディといえばコメディ。展開は割とシリアス。
タイの片田舎の辺鄙な村、日本の戦前みたいだけど、その村にいるお爺さんに久々に会いに、村の外から来た人が
「今度連絡してくれ、電話してね」、と言うと
「家に電話ないねん」って、凄いど田舎なのよ。
タイって仏教の信仰の厚い国やけど、その村の守り神の大切な仏像ができてから20年の記念のお祭りの前にその仏像の首が盗まれる事件が起きる。村の中で一番の健康的でムエタイの使い手の青年がトニー・ジャーやけど、その仏像の首を取り返しに1人でバンコクに行く。
面白そう。
すごくコメディ感が溢れているポスターですけど。
アクションがスカッとして観ていて面白い。
仏像の密売組織に行くのかなって思ったら、主人公の青年が村から出る時に、
「前に村から出て行った青年ジョージに手紙を渡してくれ」って頼まれているんやけど、ジョージに会ったら、ろくでなし。主人公の青年に仏像を取り返しに行ってもらうために村人たちが貧しいけど、ちょっとずつお金を渡してくれたのを、ろくでなしのジョージが盗んじゃって賭け場に行く。その賭け場がファイトクラブ。VIP席で博打をしているお偉いさんが、実は仏像の密売組織のボスやった。
繋がるんやね。
面白そうですね。
ファイトクラブの戦いに巻き込まれちゃった青年が「これに勝ったら取り返せるから」ってジョージに言われる。ファイトクラブには敵のボスのお抱え選手がいっぱいいるので、いろんな国籍や各選手たちと戦うことになる。
ムエタイってカンフーとは別ですよね。違いがよく分からない。
キックボクシングでもムエタイ出身って出てますね。
足技が中心ですかムエタイは。
腕も使うし、身振りが大きいのと、肘で攻撃するのが多いんです。見ていて殺意が高いなって思って。
「(ダウンタウンの)ガキの使いやあらへんで!」のタイキックのイメージしかない。
キックボクシングも昔テレビでやってた時は、一撃必殺があったからね。
それは一発KO?
KOで決まる時が多かったよ。禁止ルールができて、これをしたら駄目、あれをしちゃ駄目とかね。(肘打ち、頭突き、オープンブロー、下腹部攻撃、顔面・頭部へのヒザ蹴り、投げ技・タックル・サバ折り、噛み付き、目潰し、後頭部への攻撃、手足を掴んでの攻撃、ロープを掴んでの攻撃)
ジャッキー・チェンの映画をはじめとしたカンフー映画をリスペクトしている。ジャッキー・チェンって体を張ったアクションをして、パルクール的に街中で敵から逃げたり、壁を登ったりする。主人公のティンが街中でヤクザたちに追いかけられるシーンがある。
時計台から落ちないんですか?(「プロジェクトA(1983)」でジャッキー・チェンが時計台から落ちる有名なスタントがある)
椅子使ったアクションとか、どんだけジャッキーをリスペクトしているか、気になりますね。一気に興味を惹かれますね。
タイのバンコクだから都会だけど、下町の商店街や住宅の密集地を走って逃げるから、追いかけられている時に包丁売りの人とぶつかったり、屋台のお店の上を駆け抜けていったり、走っている車を全部ジャンプで飛び越える。
ジャッキー・チェンは肉体で勝負をするところを見せたいので、カットを切らない。ワンカットで見せちゃうから、本当にやっているのが、観ている人に分かる。そういう撮り方もしてると思うんですよね。
カンフー映画を参考にしつつ、当時そんなになかったムエタイアクション映画で、すごいものを作るんだっていう情熱があって、自分はムエタイは詳しくないんだけども、いろんな奥義を決め技として見せたり、トゥクトゥクで下町を走って街中の風景を見せたり、タイの文化やタイらしさを押し出す。ぜひ「マッハ!!!!!!!!」を観てほしいな。「マッハ」が一番の代表作になっているのと、タイのムエタイアクションの先駆けで、トニー・ジャーの代表作に位置づけられている。
街の風景を見ているだけでもね、異国情緒が溢れていて楽しいですからね。
世界的にヒットしたら、狙い通りですよね。
肉体俳優列記
- カーク・ダグラス:
- 大学生の時にボクシングでファイトマネーを稼いでいた。肉体的代表作「スパルタカス(1960)」
- ユル・ブリンナー
- 元ブランコ曲芸師。肉体的代表作「荒野の七人(1960)」
- ショーン・コネリー
- セミプロのサッカー選手の時、マンチェスター・U入りのオファーを受けたが断る。肉体的代表作「007 ロシアより愛をこめて(1963)」
- スティーブ・マックイーン
- 元海兵隊(戦闘隊員、トルーマン大統領のヨットの警備)。ブルース・リーに師事。肉体的代表作「大脱走(1963)」
- バートランカスター
- サーカスの空中ブランコ乗りを7年間行っていた。肉体的代表作「プロフェッショナル(1966)」
- ブルース・リー
- 中国武術の指導者。截拳道(Jeet Kune Do/JKD/ジークンドー)の創始者。肉体的代表作「燃えよドラゴン(1973)」
- 千葉真一
- 極真カラテ四段。肉体的代表作「戦国自衛隊(1979)」
- シルベスター・スタローン
- 母親の経営するボクシングジムで体を鍛える。肉体的代表作「ランボー(1982)」
- ジャッキー・チェン
- 元スタントマン。肉体的代表作「プロジェクトA(1983)」
- アーノルド・シュワルツェネッガー
- 元ボディビルダー。肉体的代表作「ターミネーター(1984)」
- チャック・ノリス
- 世界プロフェッショナル空手選手権ミドル級チャンピオンのタイトルを6年間保持。生涯戦績は195戦183勝10敗2分。肉体的代表作「野獣捜査線(1985)」
- ミッキー・ローク
- 元プロボクサー。肉体的代表作「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン(1985)」
- ドルフ・ラングレン
- 極真カラテ四段。肉体的代表作「レッド・スコルピオン(1988)」
- スティーヴン・セガール
- 合気道七段。肉体的代表作「沈黙の戦艦(1992)」
- ジャン=クロード・ヴァン・ダム
- 全欧プロ空手選手権ミドル級王座を獲得。肉体的代表作「サドン・デス(1995)」
- ウェズリー・スナイプス
- 空手5段。肉体的代表作「アート・オブ・ウォー(2000)」
- ジェイソン・ステイサム
- 元水泳の飛込競技の元選手。肉体的代表作「トランス・ポーター(2002)」
- トニー・ジャー
- 元スタントマン。肉体的代表作「マッハ!!!!!!!!(2003)」
- ジーナ・カラーノ
- 元女子総合格闘家、ムエタイ選手。肉体的代表作「エージェント・マロリー(2011)」
- マ・ドンソク
- 元ボディビルダー。肉体的代表作「新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)」
- ドウェイン・ジョンソン
- 元プロレスラー。肉体的代表作「ワイルド・スピード/スーパーコンボ(2019)」
「ドラゴン×マッハ!」 達人共闘。
監督:ソイ・チェン
脚本:ジル・レオン
〈Story〉
臓器密売組織の首領を捕まえようと組織に潜入していたチーキット(ウー・ジン)は、正体がばれてしまいタイの刑務所へ送り込まれてしまう。組織と刑務所の所長はつながっていたのだ。刑務所で働く正義感の強いチャイ(トニー・ジャー)はそのことを知る。
「ドラゴン×マッハ!(2015)」も中国とタイの合作かな。
香港とタイの合作。シリーズに関係のない他の映画でも「マッハ」ってつけられる。
「ドラゴン×マッハ!」もそうですよね。
香港のカンフーアクションスターが出る作品って、「ドラゴン」を付けがち。
ブルース・リーの「燃えよドラゴン(1973)」とか。
「ドラゴン×マッハ!」は香港のアクションスター(ウー・ジン)とタイのムエタイ・アクションスター、トニー・ジャーの2大主人公なので、「ドラゴン×マッハ!」という邦題がついた。
「マッハ!!!!!!!!」とはまた別ですか?
全然関係がない。
捜査をしていく話ですよね。
「ドラゴン×マッハ!」は香港の捜査官が臓器密売組織に潜入捜査をしていて、大きい山を任されて、やっと組織の手がかりがつかめるぞっていう時に、自分が捜査官やっていうのがばれて、臓器密売組織がタイに持っているアジトに移動させられてしまう。そのタイの組織のアジトは、表向きが刑務所。そこにいる何も知らない刑務所の看守が、トニー・ジャー。
そこで、出会うんですよね。
「ドラゴン×マッハ!」もいい映画。
タイの映画自体を知らなくて。
タイ映画はね、アクション映画もいいし、最近だったら、カンニングする映画があった。(「バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017)」)
世界的にヒットしたね。
あれは面白かった。時差を利用してカンニングするんですよね。
何をカンニングするんですか?
アメリカの大学に入学するための試験が世界各国で行われる。国によって時差があるから、先にやる所が出てくるわけ。現地に行ってテストを済ませて、上手いこと携帯を使って問題をタイに送る。実際の事件が元。
「ヒート」 頭脳戦、裏切り、報復。
監督・脚本:マイケル・マン
〈Story〉
ロサンゼルス、ニール・マッコーリー(ロバート・デ・ニーロ)率いる強盗団は現金輸送車を襲撃する。捜査を担当することとなったLA市警察のヴィンセント・ハナ警部補(アル・パチーノ)は、強盗団のメンバー、マイケルを割り出す。マイケルと接触する強盗団のメンバーらしき男たちを一人ずつあぶりだしていった。
ヴィンセントはリーダー格のニールに注目し、執拗に追及していく。ニールはプロの犯罪者として、いかなる状況でも高飛びできるようにするため、私生活の全てを封印していた。ある日ニールはイーディ(エイミー・ブレネマン)と出会い、恋に落ちていく。そして、ニールは次の仕事で足を洗い、彼女と共にニュージーランドへ移住することを決意する。
「ヒート(1995)」が話題になったのは、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノが2大共演をしたこと。前に、「ゴッドファーザー PART II(1974)」で共演はしたけど、デ・ニーロは若き日のドン・コルレオーネなので、一緒に映らなかった。今回の「ヒート」で初めて同じカットに映るシーンが後半で出てくるんですよ。
話はね、ロサンゼルスの犯罪集団のリーダーがロバート・デ・ニーロ。それを捕まえようとする警察側のリーダーが、アル・パチーノです。
どちらもその世界ではカリスマ。頭脳で仕事をする人で、デ・ニーロの方は、しっかりした組織で、身内だけで固めている。デ・ニーロは独身ですよ。結婚はしない。
「何かあった時にはコンマ3秒で高跳びをしなさい」とみんなに言っていて、でも他の人らは家族を持っていて、子供がいる。アル・パチーノは結婚していて、娘さんがいる。それぞれが家族を持っているのが、面白いんです。
デ・ニーロはそう言いつつも、書店に勤めている女の人と出会ってしまうんですよね。恋に落ちるんです。だから次の仕事で最後にしようと思っているんですよ。
で、銀行を狙う。下見に行くと、その時には、アル・パチーノ側は情報を掴んでいて、車の中で見張っている。でも、ある刑事が物音を立てた時にデ・ニーロは、
「今日はやめる」と言って途中で切り上げてしまうんですね。
次にどうしたか、デ・ニーロは港湾の広場でみんなを集めて、指示をしている。それをアル・パチーノ側が監視している。デ・ニーロが解散した後、そこへ集まって、彼らは何を見ようとしていたんだろうと想像していて、アル・パチーノが気づくんですよ。
「奴らは、我々を見ようとしている」。警察のメンバーを遠くからデ・ニーロが見ている。
そんな頭脳合戦があってから、アル・パチーノは、デ・ニーロに会おうとする。デ・ニーロが車で移動している時に、ヘリコプターを使って追跡させる。連絡を受けて車で追いかけて行って、デ・ニーロの車を止めて、
「一緒にコーヒーを飲もう」。
そこがロバート・デ・ニーロとアル・パチーノが一緒に映るシーンです。
それが初めてってことですね。
「また刑務所に舞い戻りたいのか?」ってアル・パチーノが訊く。
「そんな奴はヘマをしたやつだ。俺に近づくと、危険なことになるぞ」って逆にロバート・デ・ニーロが脅す。
「刑務所に入りたくなかったらおとなしくしとけよ」
「俺は何かあった時には、コンマ3秒で高飛びできるから」
「恋人がいても、そんなすぐに高跳びができるのか?」
「俺はできる」って言って別れる。
でもその時には、デ・ニーロには恋人がいた。そして、最後の銀行強盗をする時に、裏切り者がいたんです。
デ・ニーロ陣営の中に?
密告者がいた。銀行が狙われるので、警察が駆けつける。
「ヒート」の売りは、その12分間の銃撃戦。
街中のですよね?
デ・ニーロたちが銀行から逃走するんだけど、逃げ切れる人も、逃げ切れない人もいる。
逃げた中にデ・ニーロの義理の弟がいる。その人に奥さんがいるんですよ。奥さんはこういう生活が嫌だったので、浮気して、仲たがいがあったんですね。きっと、奥さんのところに帰って来ると、警官が家の中で見張っている。警官が
「夫の車が来たら顔を確認しろ。君を恩赦するから。しなかったら仲間として捕まえるぞ」って言う。
車から出てくるところをバルコニーから見ているんですよ。目と目が合った時に、奥さんが来たダメよって手で合図をする。そこが名シーンですけどもね。
また、アル・パチーノはデ・ニーロを誘き寄せるための罠を仕掛けるんです。裏切り者は空港のホテルにいるっていう噂を流す。そこに、デ・ニーロが現れるのか? 裏切り者は誰だったのか? 皆んな捕まるのか?
どっちが勝つんか? デ・ニーロかアル・パチーノか?
気になりますね。
いろんな俳優が出ていて。逃げて奥さんに会いに来るのがヴァル・キルマー。
ヴァル・キルマーって「トップガン(1986)」に出た。
奥さんがアシュレイ・ジャッド。当時はね、若くて。それに、ダニー・トレホ。僕は、ダニー・トレホが好きでね。脇役でよく出てるんですけども、顔を見たら絶対わかる人。
特徴的な顔立ち。
ダニー・トレホが主役の映画もあるんですよ。(「マチェーテ(2010)」)
どちら側の部下ですか?
デ・ニーロの犯罪集団の仲間ですよ。
銀行強盗の当日、警察につけられていて、合流できなくて、デ・ニーロが
「いいから。今回は外れてくれ」って電話で言うシーンがあって、ダニー・トレホを疑いだすんですよ。
「この場にいなかったのはあいつだけや」って。
果たして、ダニー・トレホが裏切り者やったのか?
ジョン・ボイドが出てるじゃないですか?
デ・ニーロの方の仲介をする人です。
悪党ということですか?
悪党同士を仲介する。
ナタリー・ポートマンも出てるんですね。
アル・パチーノの娘役やったかな。
1981年生まれやから、まだ14歳。「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス(1999)」に出る前ですね。
「レオン(1994)」の後。
アル・パチーノも若くて、最後の方で、娘が病院に入っていて、病院の階段を降りるのがすごく早い。
今はもう80歳ですね。
今年のアカデミー賞授賞式の時に「ゴッドファーザー」の50周年記念のシーンがあって、コッポラ監督とデ・ニーロとアル・パチーノの3人が登壇するんですけども、もうみんなヨボヨボですよね。
ハハハハ。
でもアル・パチーノは目力があって、目だけで演技してるのかって、喋り方もすごく特徴的ですけど。
あの人って身長が低いんですよね。
僕とね、一緒ぐらい。ダスティン・ホフマンとブルース・リーと僕が同じ背丈。
そのメンバーに夕暮れさんが。
「ヒート」の銃撃シーンがすごく気になるんですよね。
この銃撃戦は映画館で観た方がいい。
最近見た映画で、「ヒート」の銃撃戦を彷彿させるって作品があったんです。「レイジング・ファイア(2021)」。
私がまだ観ていない。
ドニー・イェンの終盤で、これも警官とその犯罪者集団の対決で銃撃戦。
話の建て付けは似ているね。
銃撃戦のシチュエーションも似ているんですよ。みんな乗り捨てた車がバーって道路に置いてあって。ドンドンドンってやって。
「ヒート」はマイケル・マン監督がこだわっていて、本物の銃の音を使っているんですよ。
音だけ別撮り。
すごいこだわり、「ヒート」を観なきゃな。
(対話月日:2022年4月13日)