お家時間を楽しめますように、映画好きな素人のおしゃべりに、お付き合いください。
皆様がひとつでも観たい映画が見つかれば嬉しいです。
本日も、そろそろ夕暮れになりましたので始めましょう。
「インセプション」の話をしよう
夢って、いいテーマだなと思いました。
夢をモチーフにした作品が何が本当で何が夢か分からなくなったり、現実と虚構の境目がなくなっちゃったり、そういう描写があるからややこしい。
そこをうまくシナリオを作るのが夢のモチーフ。
なかなか難解なのばっかりです。
そうなんですよ。難解でしょう。
映像っていうのはかなり大きいですよね。言葉では伝わらない何かがありますよね。
映像トリックですね。普通にシーンが変わるのに、実はそこが繋がってないとか。後で分解していかないと分からないですよね。
「インセプション(2010)」は、今回で2回目ですけど、いまだに理解できない。
もうクライマックスの夢の第2階層に行くところで、それについていけない。
「インセプション」は割ときちっと境目が分かりやすい。前半の方で、「インセプション」の世界のルールを説明している。ツールと役割はこうみたいなね。最初の3分の1ぐらいで説明がある。
序盤は分かるんですけどね。
最後は潜りすぎですけどね。
夢の中の夢って、さらに奥深くに行くほど時の流れが早くなる。奥さんと50年いたとか、あそこの回想シーンが理解できてないです。
潜在的な意識か何か邪魔をするみたいな。それが入ってくると、またややこしい。
ノーラン監督の映画はこれに限らず全部ややこしい。
ルールの中でも調合師の技でさらに深く入り込むことによって、そこで死ぬと上の階層に戻らなくて、迷って虚無にいってしまう。
死んだら戻れるのは層が浅いところだけ。それができなくなるってことですよね。
上手くキックを利用すれば、ちゃんと戻って来れるけど。
キックも難しいですよね。あれは確かにちょっとわかりにくい。音楽を聞いて、何で戻れるのか。
あれは、合図でしょ。キックするぞっていう。
この階層で聞くと、音楽が始まったら、すぐだけど、次の階層だったらまだ時間が‥。
あー、時間が増えるわけか。そうか、だから慌ててたんか、もうすぐキックが始まるので。
雪山のところ、むっちゃ早かったみたいな感じでしたね。
そういうことか。
じゃあ、キック自体は1回で。
僕も最初に観た時は、よく分からなくて、いろいろ誤解していた気がするんですね。今回、やっと整理ができた。
確かに。
話はね、簡単と言えば簡単でしょ。相手の企業を潰そうというだけの話ですね。
夢とは関係ないけど、スパイ映画としての要素もなかなか好きで、レオナルド・ディカプリオが世界各国に飛んで仲間を呼んで、みんなで協力して、目的を達成する。オーシャンズシリーズ分かる?(「オーシャンと十一人の仲間(1960)」「オーシャンズ11(2001)」「オーシャンズ12(2005)」「オーシャンズ8(2018)」) みんなで力を合わせて、取り組むっていうのは、個人的には好きかな。
役割があるのがいいですね。
かっこいいよね。
設計師とかね。
調合師。
設計士って、学生の女の子でした。
「そんなすぐできるんや」っていうのはありましたけどね。
どういうふうに設計をしてるのかな? 頭に念じてるのかな?
あの夢に入るわけではないですよね。
あれって誰の夢に入るの?
そう、誰の夢なのかが分からなくなる。
あれも決めていましたよね。
そう誰々の潜在意識がみたいな、あれはどう決めているのかな? みんなで一斉に見るわけでしょう。今日はキネ娘さんの夢の中に入るとか決めるんかな。
多分そうだと思います。メインの人に繋がって入るんです。
夕暮さんの夢の中に入るみたいな。
一番最初のシーンが、渡辺謙の夢でしたよね。
渡辺謙の夢の中に入って、「カーペット生地が違うからこれは夢なんだ」。
設計師のミスですかね。
惜しいなあ。
トム・ハーディーが偽装師。変装して、面白そう。
この人だけができるってことですよね。
他の人はできないんですかね。
「仕草を全部覚えた」と言ってました。それがその人の特技ですね。
あちこちで専門の人をスカウトしていく。最初は断るんですよね。「あんなの無理や」みたいな。
あれは誰かが夢を見て、それを共有してるから、設計士の設計がそこに投影されるってことなんですかね。
最終的に大企業の社長の息子であるキリアン・マーフィーの夢の中に入って、父さんの後を継がせようとする。キリアン・マーフィーの夢に入っているのに、急に汽車がバーッと走ってきたのは、あれはディカプリオのせいってことよね。
そうそう。ディカプリオの潜在意識がさせたんですよ。
潜在意識がキリアン・マーフィーの夢を侵食して、影響を及ぼしてるってことですよね。
あれは奥さんへのこだわりです。奥さんを自殺させてしまったことへの罪悪感が狂わせていく。最後にならないとね、その理由が分からない。
そうですよね。奥さんが自殺したのは、あの世界は夢やと錯覚したからで、現実世界に戻るために死ななきゃって、あそこから飛び降りた。
ディカプリオと奥さんで一緒に作った理想の世界を奥さんは理想の世界のように思ってしまったので、連れ帰るには夢やって思い込ませる。連れて帰ったけども、現実社会でも、「まだここは夢や、まだ自分は目覚めてない」って目覚めるために自殺する。
トーテムというアイテムで夢か現実か判断できる。ディカプリオが持ってたのはコマやったっけ。回り続けたらそこは夢で、倒れたらそこは現実の世界。
それぞれのトーテムが違うんですよね。
女の子が自分のトーテムをウィーンって削って、作ってましたね。夢の中だとあれがないと不安になりますよね。
トーテムのルールを説明しておいて、最後にディカプリオがコマを回す。
「えっ、どっち?」みたいな。ふふふ。
結末が分からない。
粋な演出ですよね。ちょっと倒れそうになってましたけどね。でも、ギリギリ回るっていう。ふふふ。
結局夢やったのかどうかっていうのが分からないっていうところが演出かも知れない。
Eくん
年間 120本以上を劇場で鑑賞する豪傑。「ジュラシック・ワールド」とポール・バーホーヘン監督「ロボコップ(1987)」で映画に目覚める。期待の若者。
キネ娘さん
卒業論文のために映画の観客について研究したことも。ハートフルな作品からホラーまで守備範囲が広い。グレーテスト・シネマ・ウーマンである。
夕暮係
小3の年に「黒ひげ大旋風(1968)」で、劇場デビュー。照明が消え、気分が悪くなり退場。初鑑賞は約3分。忘却名人の昔人。

インセプション
監督・脚本:クリストファー・ノーラン。ドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)は、対象者の夢の中に入って、情報を抜き取る産業スパイ。 アーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)と組んで、サイトー(渡辺謙)の機密情報を盗もうとするが、サイトーに夢の中だと見抜かれて失敗する。サイトーから、「インセプション」を依頼される。 「インセプション」とは、相手にアイディアを植え付けることであった。 サイトーは競争相手の企業を破滅させるため、後継者ロバート・フィッシャーに会社を解体させる考えを植え付けたかった。 見返りはコブの犯罪容疑を取り消して、アメリカへ再入国してコブが娘と息子が待つ家に戻れるようにすること。 コブは「設計師」アリアドネ(エリオット・ペイジ)、「偽造師」イームス(トム・ハーディ)、「調合師」ユスフ(ディリープ・ラオ)を仲間に加える。 ロバート・フィッシャーに夢の第1階層では父との関係を提起、第2階層で自分で何か成し遂げたい、第3階層で自分の道を進め、と植え付けるという計画。コブは自分の夢の中で亡き妻のモルを閉じ込めていた。第1階層は雨のロサンジェルスから始まった。

オーシャンズ11
監督:スティーブン・ソダーバーグ。脚本:テッド・グリフィン。泥棒で詐欺師のダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)は、ニュージャージーの刑務所から仮出所した。 オーシャンは、相棒のラスティ・ライアン(ブラッド・ピット)と再会し、服役中に企てていた盗みの計画を持ちかける。 それはラスベガスの3大カジノの金が集まる地下巨大金庫からの現金強奪計画。 旧友でカジノホテル経営者ルーベン・ティシュコフ(エリオット・グールド)が計画に出資する。 ボクシングの世界タイトル・マッチに巨額の現金が集まる日が決行日。 昔のツテを頼りにし、8人の犯罪スペシャリストが集結する。 イカサマ・ディーラーのフランク、爆発物の専門家バシャー(ドン・チードル)、機械制御のモロイ兄弟(ケイシー・アフレック)、エンジニアのリヴィングストン、曲芸師イエン、名詐欺師ソール、黄金の指を持つスリのライナス(マット・デイモン)。
ノーラン監督のこだわり
ノーラン監督はCGを2ヶ所だけ使ったのかな。
グワンってなるところ(パリ崩壊)ですか?
あそこと最後の混沌世界。渡辺謙が最後そこに行ってしまう。一番最初のシーンに繋がる。
あれはCGですか?
よぼよぼのおじいちゃんの渡辺謙が‥。
屋敷はセットです。最後にそこへたどり着くのに海から上がっていった。
はい。廃墟みたいな。
都会だけども、氷山が落ちるようにビルが崩れてくる、あの世界はCG。
あれ以外はCGじゃないんですか?
あれ以外は、ほとんどセットを組んでる。
街の中で汽車が走りこんでくるシーンもですか?
汽車はね、タンクローラーに‥。
付けたんですか?
汽車のセットを付けて‥。
マジか?
へー、すごいですね。
あまりCG使わないって知っていたけど。そこまでやるか。
撮影するうちに、衝突する車の数を増やしたんですよ。
「まだ足りない」みたいな。ふふふ。
すごいことやるな。設計士の女の子を勧誘するときに、ディカプリオが夢の世界の作り方について説明しているシーン。あの時に夢の世界にあった八百屋さんのところで急に野菜の入った木箱がバーンって爆発する。あれば本物?
あれも実際にパリの街で、(空気砲で)爆発させて‥。
てっきりCGかと思った。
凄いですね。鏡が割れるところとか、作ったんですかね?
あれはCGじゃない?
道で触れたらパリーンって。
あー、ははは。
ふふふ。
やっぱりCGじゃないですかね?
最後の要塞基地を爆破しに行く。あれもカナダのスキー場の跡地に建てた。
わざわざ、あのために。
で、最後に爆破した。
すごい。
キネ娘さん「ダークナイト(2008)」は観てない?
「ダークナイト」観てないです。
ジョーカーが街の中にある病院を爆発するシーンがある。爆発するシーンのためだけに、でっかい病院を作って、1回きりのぶっつけ本番で爆発させる。すごいんだよ、あの人は。
こだわりがすごいですね。
絶対CG使わないみたいな。
ダークナイト
監督:クリストファー・ノーラン。ゴッサム・シティの銀行をジョーカー(ヒース・レジャー)たちが襲う。 ジム・ゴードン警部補とバットマン(クリスチャン・ベール)が尽力する組織犯罪撲滅に新任地方検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)が協力を申し出る。 バットマンであるブルース・ウェインはハービーの高潔さに感銘を受ける。 悪と堂々と戦うハービーこそが真のヒーローであると考え、ブルースはバットマンの引退を考える。
ホテルの中が回転するのも、セットですよ。あの廊下と部屋を作った。「2001年宇宙の旅」の撮り方、宇宙ステーションの‥。
壁を歩いていく。
大きな筒状のセットとカメラと一緒に回転させる。あの仕掛けのもっと大きなのを作った。
すごいです。その撮影しているところを見たことあります。俳優さんがワイヤーで吊られて、壁を歩いているところ。
吊られているのを、筒状のセットの下から撮ってるんですよね。
下からですか。
廊下を立てる感じですよね。
あー、こうやって。(説明図1)
で、上から吊って、回転させながら下から撮る。
すごいな。
よく考えますよね。ふふふ。
予算が取れるのも凄いけど。
実際にカメラで撮ろうって思うのがね。
頼っちゃいますもんねCGに。
大変ですよね。俳優も訓練しないといけないしね。
CG使ったのが「インセプション」が初めてでしたっけ?
そうなん?
ノーラン監督の本を読んだことがあって、「そういうこだわりがあるから、ずっと使わなかったけど、初めて使ったんです」みたいに書かれていて、それが「インセプション」やったかなって、ふと思い出しました。「ダークナイト」やったか、どっちかやったような気がします。
「インセプション」は割とノーラン監督の中では初期です。
「インセプション」で分かっていない描写があって、最後の方で、渡辺謙を救うために、もう1階層潜ると渡辺謙がおじいちゃんになって生きている。
あれは混沌の世界に行ってしまう。
あれは渡辺謙だけの世界ですね。帰って来れなくなって。
そのための最初の長い説明が。
重要なセリフとかサラッと言って終わっちゃうから。
確かに。
ちょっと聞き逃したら、この人は夢の中でなんで襲われてるのかみたいな。
あの襲っていた武装集団は、自己防衛ですね。それとコブの列車が同時に起こちゃうから。
めちゃめちゃややこしいな。無関係なのに。
2つのタイミングが合ってしまった。
もう1回観なきゃ分かんないね。面白いのは夢の中で大事な情報は、設計図の段階で銀行を作っておいたら、大抵の人はそこに自分の大切なものを入れる。そうやって誘い込む。
最後の第2層ぐらいの、わざと「これは夢なんだよ」って教えているシーン。「なんで教えちゃうんやろ?」って、思いました。
あれは、なんでやったっけ?
「自分が味方やで」って刷り込ませる意味があった。
ナンバーツーの人に偽装師が化けて、裏切ろうとしてるって、信じさせて‥。
トム・ベレンジャーですね。
そうです。
「守っている側ですよ」って言うんですね。
本当にこういうややこしいのが苦手でね。
分かるとすごく面白い、ハマっていくと思うんですけど。

ややこしいのが好きな人たちへ
「TENET テネット(2020)」なんて、もう上演途中から頭が死んでいました。
「テネット」は確かに分からなかったです。ふふふ。
何気ない船のシーンにまた繋がっていく。
「テネット」はその最初の説明がもう既に難しいなって、「インセプション」はまだ分かりやすかったですけど。
ループの仕方がね。
そうそう。キネ娘さん「インターステラー(2014)」は観た? 「インターステラー」はノーラン監督で1番好きなんやけど、説明はできないけど感動する。
「インターステラー」はSFに入る?
SFです。あれはややこしいですよね。
「2001年宇宙の旅」の雰囲気というか。
うん、意識している。終盤に時間の概念を超越して、よく分かんないけど、めっちゃいい。
空間も繋がっているしね。好きな作品ですよ。途中、観ていて分からないみたいな。どういうことなんだろうと思いながらこう‥。
分かります。観ているだけの映画にならないのがいいなっていう感じはします。
頭がグラグラする感じがいい。
いいですね。
「メメント(2001)」は途中で観るのをやめました。
そうなんですか。あれは主人公が記憶がなくなる病気で、奥さんを殺した人を探す。
物語の結末から話が始まるんでした?
そうです。時系列が。
最初のシーンが激しくて、ちょっとキツいね。
あれは結末から観て面白いの?
その主人公が記憶をなくしている状態からスタートなんですよ。分かっていくっていうのは面白いです。
最近、ジェフリー・ディーヴァっていう推理小説作家が「メメント」の手法、あの型を利用して小説(「オクトーバー・リスト」文春文庫)を書いているんです。
それは面白いか?
それがね、前の出来事が分からないのがトリックに利用できるんです。やっちゃうと、その手口は使えないですけども。「メメント」で一つの型ができましたね。
結末に向かって走っていく途中で読めてくるところで、逆から行くっていうのが面白かったですね。
動機が謎になっているのかな。
なるほどね。
「オッペンハイマー(2021)」はどうなのかな? ノーラン監督の新作。あれは原子爆弾を作った人の話だったか。
あー、そのオッペンハイマー?
その映画が2023年に公開。
これから? キリアン・マーフィーがまた。
キリアン・マーフィーとマイケル・ケインは、いつも出ていますね。
好きなんですね。
面白いのが「オッペンハイマー」の映画配給は、ユニバーサル映画。今までずっとワーナーブラザースばっかりで、「ダークナイト」とか「テネット」とかだったのに、調べたら「テネット」公開時にワーナーが、コロナが流行ってたから、劇場公開と一緒にストリーミングサービスの配信を決行したのを、ノーラン監督が怒って、ユニバーサルに行っちゃったみたいですね。
そうなんですか。
劇場で観てほしいんやね。
ノーラン監督はフィルムカメラにこだわりがあるから、配信はやっぱりダメなんですよね。
「インセプション」を最初に劇場で観たときは、3Dやったかな。
当時は映画が全然詳しくなかったので、家で観てました。
私も映画館で観たことないです。
ノーラン監督はキリがないですね。
TENET テネット
監督・脚本:クリストファー・ノーラン。CIA特殊工作員の"主人公"(ジョン・デヴィッド・ワシントン)はオペラハウスでのスパイの救出に成功。 フェイ(マーティン・ドノヴァン)から、第三次世界大戦を阻止する為の謎の存在"TENET"にスカウトされる。 そこで、未来人が作り出した時間を逆行させる装置「アルゴリズム」の存在を知ることになる。
インターステラー
監督・脚本:クリストファー・ノーラン。近未来。 巨大砂嵐が日常的に発生する異常気象により農作物は枯死、人類は滅亡の危機に晒されていた。 元宇宙飛行士クーパー( マシュー・マコノヒー)は、本棚から本が落ちる現象を何者かによる二進数のメッセージではないかと気付く。 クーパーと娘のマーフ(ジェシカ・チャステイン)はメッセージを解読し、それが指し示す施設にたどり着く。 かつての仕事仲間のブランド教授(アン・ハサウェイ)と再会し、無くなったはずのNASAが秘密裏に活動を続けていることを知る。 NASAは土星近傍のワームホールを通り抜けて、人類の新天地を求めるプロジェクトを遂行していた。 教授は、そのミッションにパイロットとして参加するようクーパーを説得する。 クーパーはマーフに「必ず戻ってくる」とだけ言い残し、最後の探査船レインジャーに搭乗する。
メメント
監督・脚本:クリストファー・ノーラン。レナード(ガイ・ピアース)がモーテルの一室で目覚める。 彼の全身にはあちこちに文字のタトゥーが刻まれている。 左手に「サミーを忘れるな」という文字。 それらは過去の自分が現在の自分に向けて残したメッセージ「妻(ジョージャ・フォックス)を強姦し殺害した犯人を見つけ復讐を果たせ」とその犯人に関する手がかりの数々である。 彼は妻とともに強盗に襲われ、頭部に損傷を受け数分しか記憶できない前向性健忘症を患っていた。

オクトーバー・リスト(文春文庫)
ジェフリー・ディーヴァー著。最終章ではじまり、第1章へとさかのぼる。 娘を誘拐され、秘密のリストの引き渡しを要求された女ガブリエラ。隠れ家にひそみ、誘拐犯との交渉に向かった友人の帰りを待っていた。
オッペンハイマー
監督・脚本:クリストファー・ノーラン。第2次世界大戦中、マンハッタン計画を指揮して世界で初めて原子爆弾の開発に成功したオッペンハイマーの栄光と挫折、苦悩と葛藤が描かれる。
「パプリカ」が「インセプション」のお手本?
「パプリカ(2006)」は観られました?
タイトルしか知らないから、教えて欲しいな。
アニメで、今敏さんの作品です。これが「インセプション」に影響しているというか、ホテルで回転しているところとか、鏡がパリンって落ちていくとかが、「インセプション」に似たシーンがあるんですよ。それが有名っていうか。
ノーラン監督が。
言及はしてないけど、明らかに意識している場面が多い。
「パプリカ」の鏡が割れるシーンとかそのホテルが回転するのも夢の世界の話?
そうです。「パプリカ」は、精神科医の女性がいるんです。その人の研究所で夢を共有できる機械を作って、第三者がその人の夢を見れるという研究をしている。その女性が夢に入り込んで、精神的な病を治してあげる。夢の中の方の女性がパプリカっていう名前なんですよ。もう1人の自分です。夢と現実が分からなくなってくるのが問題になって、その夢を共有できる機械が盗まれて、犯人を探すっていうストーリーなんです。
夕暮さんもご覧になられました?
観ました。映像が楽しい。
「オセアニアじゃ常識なんだよ」って言うシーンを見たことないですか?
見たことないです。
有名なシーン。夢と分からなくなってしまう現象が、いろんなとこで起きてしまって、研究所の所長が会話をしてると、変な言葉の言い回しが続いて、わけの分からない言葉を言い出すんですよ。「おかしくなってるな」って、そこでバーッと走って窓から飛び出しちゃうみたいなシーンが有名なんですよね。
それは現実世界というわけ。
現実世界にいるんですけど、夢とごちゃごちゃになっちゃってる。
そうなんや、怖わ。まさしく「インセプション」の奥さんや!
そんな感じ。それが面白い。
原作は小説?
「時をかける少女」の筒井さんです。私も小説を読んだことないですけど。音楽もいいですよ、平沢進さん。
観よう、観よう。
これは。インセプションとセットで観ると面白かったです。
筒井康隆が日本で最初に「タイムトラベラー」っていう言葉を「ときかけ」で使ったんです。

パプリカ
監督:今敏、原作:筒井康隆。精神医療総合研究所に勤める千葉敦子は、頭部に装着して眠るだけで他人の夢に入れる「DCミニ」を用いて、刑事・粉川利美を治療していました。 夢の中では、少女「パプリカ」に変身します。 DCミニが何者かに盗まれてしまいます。 開発者時田は、氷室の夢の中に侵入するが、夢の中に取り込まれる。 敦子は時田を救うためにパプリカに変身し、氷室の夢の中に入る。 犯人たちは色々なものに化けて、パプリカに襲いかかる。 パプリカは人魚や孫悟空に変身して攻撃をかわすも、小山内に蝶の標本のように捕らえられます。 敦子に想いを寄せていた小山内はパプリカの皮を剥ぎ、中から敦子を取り出そうとする。
「トータル・リコール」の夢物語
夢と現実が分からないっていうのは、やっぱり「トータル・リコール(1990)」でしょ。
オリジナル版がシュワちゃん。
リメイク版(「トータル・リコール(2012)」)はかなり落ち着いちゃってね。
そうなんですか.。
オリジナル版の方が過激で面白い。
グロイ系なんですね。
そんな目を覆うほどじゃないので大丈夫だと思うけど。ストーリーも簡単。舞台は未来の世界で、夢を売る企業があって、あなたの見たい夢を見させますよって。例えば、スパイになって全世界を股にかけて活躍する夢が見たい、そんな要望に合わせて提供するところがあって、シュワちゃんは、火星に行きたいって前から思っている。
この世界は火星に人が住んでいる設定なんやけど、お金もないから火星に行く夢を見させてもらうんやけど、その機械が調子がおかしくなって、夢を見ないまま終わっちゃうんよ。シュワちゃんが家に帰る途中で、今まで同僚やと思ってた友人が襲いかかってくる。
物語の後半に、実はシュワちゃんは、元々は火星で暮らしてたんやけど、記憶を消されて地球で暮らしていたことを知って、真相を明らかにするために火星に向かうっていう話。
途中ではシュワちゃんが活躍しているのが現実なのか、夢の中か分からなくなる。
へえ。火星人だったってことですか?
地球に生まれて火星に住んでいたっていうことなんかな。火星では、貧民街があったり、いろんな社会が形成されて、元々はシュワちゃんがそこにいたんやけど、記憶を消されてた。
なるほど。
SFアクション映画ですよね。
記憶ってめちゃくちゃ大事ですね。
バーホーヘンタッチ満載。
ちょっと下品なんだけどね。女の子向けではないかな。
自動運転のタクシーが登場するんだけど、運転手は人形みたいなのが乗ってるの。
「どこ行きますか?」って。
ロボットみたいなのが。
不気味好なのが。
進んでますね、近未来的な。
ミュータントって呼ばれる人がいて、手がすごい変な感じになってるとか、いろんなエッセンスが持ち込まれていて、それがまた魅力なのよ。
おもしろそうですね。
30年ぐらい前の映画だけど今観ても面白いよ。
眼球をなんかしてるシーンがありました?
今、調べたらそれが出てきました。目が飛び出ている画像が。
あれはシュワちゃんが真空状態の火星に飛び出して、ワーッてなってしまうシーン。夕暮さんが言っているのは、鼻じゃないですか? 頭の中に埋め込まれた発信器を取り出すために鼻から取り出す。
えー。痛い。
おばちゃんの顔がパカって割れたり。
おばさんの顔が割れるのは、出発のロビーみたいな、検査場のシーンで、予告編でよく出てくる。
なんか想像の斜め上でした。
横に刻みが入ってて、開いていく。
それは何なんですか? スーツみたいになっている。
変装セットみたいな感じやね。
めちゃくちゃ偽物感がすごいですね。シュールな感じですね。
これは「インセプション」より遥かに分かりやすい。
笑える感じもありつつ。面白いな。

トータル・リコール
監督:ポール・バーホーベン、原作:フィリップ・K・ディック『追憶売ります』。近未来。 火星には植民地が築かれているが、酸素が薄く気圧が低いため防護服無しでは建物の外に出られない。 地球に暮らすダグラス・クエイドは建設労働者で、結婚8年になる妻のローリーと2人暮らし。 彼は毎夜、行ったことが無い火星の夢に悩まされていた。 クエイドは、偶然「旅行の記憶を売る」というリコール社の広告を見つける。 リコール社へ出向き、「秘密諜報員として火星を旅する」というコースを選択する。 注射によって眠りにつくが、突然クエイドはわめきながら暴れだす。 クエイドが、実際に火星へ行ったことがあると察したリコール社は、リコール社に来た記憶自体を消し、タクシーに乗せ自宅へ送り返す。 帰宅途中、謎の集団に襲われるが、身に覚えのない格闘術でその全員を殺害するのだった。

映画館の思い出を話してください。
小さい頃に、初めて観に行った映画がポケットモンスターの映画なんですよ。頭に残っているのが、多分親に抱っこされたんかな。映画館の窓口で係員の人に「売り切れです」って言われたのを覚えてる。
えー。そんなんあるんですか?
そこだけ鮮明に覚えている。結局その後、観に行ったかどうかはちょっと分からないけど、その記憶は何故か覚えている。
満席だったってことですか?
98年公開やから。生まれて1年も経ってないかな。
よく覚えてますね。
なんて言う映画なんですか。
覚えてないです。どっかの映画館とだけしか。そのポケモンの人気で、やったってことだけど、だからこれを映画鑑賞といえるかいうのはあれなんですけども。記憶に残っているのでちゃんと観たのは、ゴジラの映画。これは当時の3〜4歳。
どのゴジラですか?
「ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃(2001)」「劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険(2001)」と同時上映してたんです。
そうなんですね。
あの入場特典をもらった記憶があるなあ。
E君が一番いろんな劇場で観てますね。
地元やったら上映作品がかなり少ないので、わざわざ大阪の梅田まで来て、シネリーブルとか行ったりとか心斎橋とか。ちょこちょこいろんなとこに行ってますね。
(対話月日:2022年1月26日)