映画をこよなく愛する素人のおしゃべりです。
皆様の観たい映画がひとつでも見つかれば嬉しいかぎりです。
映画 「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」 現代の英国で猫と暮らす
監督:ロジャー・スポティスウッド
脚本:ティム・ジョン、マリア・ネイション
原作:ジェームズ・ボーエン
日本公開:2017年
〈Story〉
ロンドンの路上で一人弾き語りをするジェームズは、ある雨の日にホームレス仲間のバズからドラッグに誘われ、ジェームズは両親の不仲などから精神的不安定にあり、薬物に手を出し倒れる。
カウンセラーのヴァルは、ジェームズに、古いアパートの部屋を貸し与える。
夜中に茶トラの猫がジェームズの部屋に迷い込み、ジェームズは猫を外へ離すが、路上ライブから戻ると、昨夜の猫が怪我をした状態で待っている。
隣人ベティから直ぐ病院に連れて行くよう指示を受け病院で治療を受させる。
ベティにボブと名づけられた猫はジェームズのライブにまでついてくるのだった。。。

「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ(2017)」はイギリスの映画です。以前に観たのではなくて初見です。
それもいいね。
実話を基にしたお話で、主人公ジェームズはロンドンに住むホームレスの路上ミュージシャンです。ギターで演奏して歌ってお金を稼いでいる青年で、薬物中毒に悩まされています。ソーシャルワーカーの人に相談をしているけど、それでも薬物をやめられなくて、日々苦しんでいて、そのソーシャルワーカーが無償で部屋を提供してくれるんですよ。
お金がないのに薬は手に入る。
薬を買うぐらいのお金は持っています。極貧生活で稼いでもお薬に使っちゃう。そのソーシャルワーカーの人がそれを見かねて、ぼろいアパートの部屋を提供してくれる。そこに住み始めたらある日、野良猫が部屋に入り込んできて、最初は追い出そうとするけれども、懐かれちゃって泣く泣く出稼ぎに行くときに連れて行ったら、猫を連れたミュージシャンがいるぞと評判を呼んで、招き猫みたいな存在になるんですよ。それでボブっていう名前をつけて、二人三脚で歩んでいくっていう話です。
シンプル。
「猫侍」と似たような構図です。 猫と男だと大体こうなっちゃう。
それは猫との生活シーンがいいの?
いいというかシリアスです。その薬物中毒の描写もあって友人も薬物中毒ですよ。友人はズブズブで抜け出そうと頑張っているジェームズに
「食べ物を買うからお金を貸してくれ」と言ってくるんですよ。仕方なく貸すと、また薬物を買っちゃって路上で亡くなっちゃうんですよ。
ロンドンという都市には薬物が蔓延っているみたいだよね。
お金を貸した責任を感じてしまうね。
そうですね。
そもそもジェームズが薬物中毒になった原因のひとつが、両親の離婚で、お母さんはロンドンの外に引っ越すんですよ。お父さんはそのままロンドンに住み着いて別の人と結婚する。
ジェームズは成長してからロンドンに戻ってきて、路上ミュージシャンとして生活して、お父さんとどう接したらいいか分からなくてギクシャクしていて、お父さんは薬物中毒になっている息子を軽蔑している。
一度お父さんに会いに行く場面では、お父さんの再婚相手がジェームスを嫌っていて、
「もう近寄らなでくれ」って言う。
タイトルの割にはシビアなお話。
本物のボブっていう猫が可愛くて、この作品は実話をもとにした話で、現実のボブがほとんどの場面で自身を演じている。
カメオ出演やな。
ちなみにジェームズ本人もちらっと出てきます。ボブは数年前亡くなっちゃったみたいです。
猫の方が寿命が短いもんね。
ウェブサイトでボブが亡くなったのが14歳。これは高齢ですか? そこら辺詳しくなくて人間で言うと、いくつくらいかな。
人間だと5倍ぐらい。
70歳くらいか、それはもうおじいちゃんだ。
ボブが出てくるだけで可愛くてもう目がくりんくりんで見惚れちゃうんですよ。ジェームズの肩に乗るんです。その状態で演奏します。
信頼しているね。
それが評判になってネット上で動画がアップロードされて、出版社の人の目について、自分の伝記本を書く。その本が元になって映画が作られた。原作も読んでみたいです。5冊ぐらい出ています。
そうなると経済的にも余裕がでてきますね。
今は裕福になっているのかな。映画のエンドクレジットで「動物愛護団体とかの募金集めのために今も演奏を続けている」って案内が出ていました。
薬はどうなの?
誘惑を避ける為、ジェームズは家の中で一人でいると禁断症状で幻覚に襲われる。薬を欲しくなっちゃうのを、ボブの力を借りて何とか克服する。薬物断ちができたことで、お父さんとの関係も多少緩和されて、仲良くなってめでたしめでたし。
ボブの存在が大きくなっていました。
そうそう。ボブと出会ったおかげでミュージシャンとしても有名になったし、薬物中毒も克服できたしお父さんとも仲直りできて、幸せの招き猫です。
途中、喧嘩が原因で、警察から路上での演奏を禁止された時があって、それでお金稼ぐために始めたのが「ビッグイシュー」というストリート新聞の販売。買ったことないですけど、日本でも金銭的に貧しい人たちが売っているみたいです。
ボブはよく見ればオーソドックスな、標準的などこにでもいるような猫。
茶トラ(アメリカンショートヘア)という品種。
ボブの首にリードを繋げているのを見て、僕の近所でもたまにね、猫のリードを引いて散歩させているおばあちゃんを思い出しました。その猫が太っていてダイエットをさせているんかなって思いながらいつも見ています。
これ監督がね、ロジャー・スポティスウッドという人で、カナダの人。
イギリス映画ですね。
過去の監督作だと「007トゥモローネバーダイ(1998)」、シュワちゃんの出ているSF映画の「シックスデイ(2000)」とか、ジャンルがバラバラ。
「ボブという名の猫2 幸せのギフト」の監督は公式サイトにチャールズ・マーティンスミスとある。「アンタッチャブル(1987)」の4人組の中で、エレベーターの中で殺された眼鏡かけた簿記係ですよ。この人監督もやっていたか。。。
その後もボブにドラマがあるっていうことやね。
本も5冊出ているぐらいですかね。
副題「幸せのハイタッチ」は何か意図があるんですか。
主人公が手を挙げるとボブがハイタッチするシーンがあります。ボブと一緒に寝ているシーンを見ているだけでも可愛くて満足。実際、監督が意図した通り動いてくれるとは限りませんから大変でしょうね。カメラの外で猫じゃらしを振っているのかとか想像します。
猫に演出を任せているかもしれないですね
ディズニーの「ライオン・キング(2019)」の実写版は全部フルCGじゃないですか。
この「ボブという名の猫・・」はCGに頼らず、本物を使っているから大変です。
イギリス映画って、「トレインスポッティング(1996)」でも薬物を吸っているシーンばっかりで、イギリスってこんな感じなのか。アメリカの映画でもね、コカインを堂々と吸ってるけど法に触れないんですか。
駄目でしょう。大麻は州によって合法やったかな。
パーティーのシーンですぐに吸いますよね。
「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2020)」でもありました。
「ボブという名の猫・・」では恋愛は描かれませんか。
ボブがきっかけで、隣人のベビーと仲良くなるんけど、そこまでの関係には至らないんですよね。さらっとしてます。
リアルに描こうとしているのかな。
そうそう。
親子関係の修復はドラマとしては大きいね。
最後に父親が心情を打ち明けるのが泣けるところで、ジェームズの本のサイン会に来てくれて、息子を愛してないわけじゃないけど、薬物中毒になっちゃって、接し方が分からなかったというシーンが最後にあります。
いいシーンね。
そこで本を手に取って、これは僕の生活そのものだって言っている人が原作者のジェームズ・ボーエンで出演をしています。
Eくん
年間 120本以上を劇場で鑑賞する豪傑。「ジュラシック・ワールド」とポール・バーホーヘン監督「ロボコップ(1987)」で映画に目覚める。期待の若者。
キネ娘さん
卒業論文のために映画の観客について研究したことも。ハートフルな作品からホラーまで守備範囲が広い。グレーテスト・シネマ・ウーマンである。
検分役
映画と映画音楽マニア。所有サントラは2000タイトルまで数えたが、以後更新中。洋画は『ブルーベルベット』(86)を劇場で10回。邦画は『ひとくず』(19)を劇場で80回。好きな映画はとことん追う。
夕暮係
小3の年に「黒ひげ大旋風(1968)」で劇場デビュー。大興奮も束の間、開演時に照明が消え気分が悪くなって退場。初鑑賞は約3分となった。

検分役の音楽噺 ♫
今回は猫がテーマの映画について盛り上がっているようですが、僕はどちらかとえば犬派なもので・・・。
ということはともかく、猫と映画と映画音楽のお話になると、かのエンニオ・モリコーネが音楽を担当した、
78年のイタリアのコメディ映画でその名もズバリ『猫』(il gatto)という作品があります。
古いアパートを所有していた兄妹と不動産会社との騒動を描いており、兄妹が飼っていた猫が物語のキーとなります。
日本未公開ですがモリコーネのファンの間では人気の高い作品で、メインテーマはタンゴ。
劇中、猫がアパートを徘徊する姿にタンゴが流れて来るのです。
そこで、猫とタンゴといえば、思い出すのが皆川おさむさんが唄って大ヒットした「黒猫のタンゴ」。
今年2025年は昭和でいうと100年になるということで、TVでも昭和100年にちなんだ番組がすでに放送されていますが、
昭和の大ヒットナンバーといえば必ず登場するのが「黒猫のタンゴ」。
大ヒットといっても69年、昭和でいえば44年ですから、僕が二歳の頃。
リアルタイムで聴いていたはずですが、正直記憶にありません。
後年、歌番組等々で取り上げられて、そこでようやく耳にしたものです。
その「黒猫のタンゴ」、原曲はイタリアの童謡なんです。
作曲したのはマリオ・パガーノという人で唄ったのはヴィンチェツァ・パストレッリという当時4歳の女の子。
ちなみに日本語版を唄った皆川おさむさんは当時6歳でした。
面白いのは猫を表現するのに、「黒猫のタンゴ」もモリコーネの「猫」もタンゴを使っていること。
もっとも、モリコーネの方が後なので、彼の脳裏に「黒猫のタンゴ」のイメージがあったかどうかは定かじゃないですが、
本国でも有名な童謡だったようですので多少の影響はあったかもしれませんね。
※モリコーネの「猫」のメインテーマはyoutubeで「morricone il gatto」で検索すると聴くことができます。
映画 「猫侍」 江戸で浪人は猫と暮らす
監督:山口義高
脚本:永森裕二、山口義高、城定秀夫
日本公開:2014年
〈Story〉
家に妻と娘を残し、江戸に出稼ぎに来ている浪人の斑目久太郎は、米沢一家若頭から相川一家の猫の暗殺を頼まれる。金に困っていた久太郎は依頼を引き受ける。
翌朝、相川一家は大騒ぎに。
若頭が久太郎宅へ暗殺成功の確認をしに来るも猫は化けて出ると言われ、怯えて逃げ出す。
実は久太郎は玉之丞を切っておらず、こっそり連れ帰っていたのだった。。。

「猫侍(2014)」のドラマ「猫侍(2013)」は観ていないですね。ドラマの放映が先にあって、映画は最初の物語になります。
猫との出会いから描かれている。
「猫侍」の猫はお餅みたいに真っ白で可愛いんです。
ツヤツヤで高貴な猫。幕末が舞台です。そこで犬派の米沢一家と猫派の相川一家が対立しています。
「用心棒(1961)」に似た状況設定。
北村一輝は元加賀藩の侍・斑目久太郎で今は江戸にいます。昔「百人斬り」というあだ名で恐れられている剣士でしたが、今はめっちゃ貧乏な長屋暮らしで内職に傘張りをしているんですよ。めっちゃ無口でセリフはほぼ心の声です。
モノローグで語られている。
おとめ座のB型という現代的な設定。
ナイスをもじって「ニャイス」と言っていた。
ほんまコメディみたいです。
「モエー」とか言っています。
テレ東っぽいな。
ハハハ
顔が怖くてね、ぶすっとしているけど、モノローグの量が多くて、意外とおしゃべりでギャップがあって、いいんです。
そんな設定で、犬派の米沢一家から相川一家の猫を暗殺する依頼が斑目に託されます。相川一家の親分が気に入っている猫の暗殺の依頼です。
猫の用心棒「猫番」を置くくらい大事にしている屋敷に忍び込んで、斑目が猫を殺した一夜があるんですね。殺されたのが白いかわいい猫で玉之丞っていう名前です。翌朝に一家は騒然となって猫がいなくなった事実を隠ぺいするために、違う猫を捕まえてくるんです。
すり替えて。
これでやり過ごそうとします。親分が
「なんか雰囲気変わったな」と言うと
「夏バテしているんです」って、乗り切ります。
玉之丞がメスで、すり替えた猫はオス。
「去勢するか」という小ネタがあります。
尻尾もよく見たら色が違う。
それでも何とかごまかす。
ほんまに好きなんか? みたいな。
で、斑目のところにちゃんと殺したかって確認に来るんです。
「死骸を見せろ」と言われて、庭にちっちゃいお墓のような棒が刺さっているのを示すと、掘り起こそうとする。斑目が
「祟られて物の怪になるぞ」と怖がらせます。
本当は殺せなかった。かわいそうになって連れて帰っちゃったんですよ。でも猫好きではないから、逃そうとします。
「あとは自分で生きろ」と、庭に放っても帰ってくる。森の中に何個か煮干しを置いて
「達者でな」と放ちます。朝起きると泥だらけになって帰ってきている。そこでやっと愛が芽生えて抱きかかえて汚れを拭いてあげて、心が近づいて、絆が生まれます。結局、飼うことになるんですよ。
ここまでボブとほぼ一緒で飼えないからって1回拒むんですよ。
斑目久太郎は元加賀藩なので、奥さんと娘が金沢にいます。昔、理由があって辞めさせられて江戸に来ています。転職活動中です。いろんな藩邸に行って仕官を頼みに行って、紹介状を持っていると言っても門前払い。何度行っても断られてしまう。それで、やさぐれて飲み屋で朝まで寝てしまうような駄目侍です。
博打に行くね。斑目はギャンブル中毒。ジェームズは薬物中毒。
実は百人斬りの剣豪。有名な道場の免許皆伝を授けられているのかな。
有名な侍っぽかったです。
そんなやさぐれた朝に家に帰ったら玉之丞がめちゃくちゃ家を荒らしている日があって、内職の傘をボロボロにしちゃって、怒ろうとして抱き上げたらめっちゃ可愛いくて、そこで「萌え〜」って言います。
そんな玉之丞がご飯を食べなくなっちゃって痩せていきます。久太郎はいろんなものをあげるんですよ。
煮干しとか、秋刀魚とか鯵とか。
「猫舌やからな」と言って、焼いたうえで冷ましてあげても、
「ほぐしてみよう」と工夫をしても食べなくてどうしようか悩みながら玉之丞のいた相川一家の屋敷に行きます。玉之丞のお世話係だった女中さんに猫は何を食べるのかを訊くと、馬肉のキューブをあげるといいと教えてくれます。良いもんを食べているなと思いつつ家に戻って、あげても食べてくれません。ん〜っと行き詰まっていると先ほどの女中さんがつけてきていたんですよ。家の中を覗いて玉之丞を見つけます。
死んだと思ったら。
「生きてる」
玉之丞やと気づくんですよ。こうやってあげるんですと、その人があげたら食べる。
「玉之丞が生きていたと私が言ったら困るでしょ」と久太郎に言うとその女中は家に上がり込み
「玉之丞がこれほど落ち着いているのは初めて」と久太郎が信頼できる人やと感じて一緒に世話をすることになります。
屋敷から猫番の青年も来ます。先ほど相川一家の屋敷に忍び込んだ時に久太郎にすぐやられてしまった侍で、久太郎の弟子にしてほしいって言います。自分は親の仇討がしたい、と。
そうこうしているうちに、相川一家から米沢一家の犬を殺してくれという依頼が来ます。米沢一家の犬番は久太郎が玉之丞を殺しに行った時の猫番だった侍です。青年の前に猫番をしていた侍です。その時の猫番はやる気がなくて、殺したいならどうぞといった人です。その侍が今は転職して敵の一家の犬番をしていて、その侍が青年の親の仇だったんですよ。
同じ仕事をしていたんやね。
自分の前の担当者が親の仇でした。久太郎が仇討ちを止めようとしても、一人で行っちゃいます。青年が仇討ちに行くと全然相手にされなくて、向こうは剣を抜かなくてよいくらいの力量だったんですよ。久太郎がそれを止めに行きます。久太郎は仇の侍と剣を交えて首を斬れる状況になっても斬らないんです。やめて立ち去ります。
そこで回想シーンに入ります。なんで久太郎が江戸にいるのかがそこで明かされます。久太郎は加賀藩では切腹をする時に首を斬る介錯人でした。
そして、ある時から斬れなくなります。武士の恥だと責められて、役目を下ろされました。江戸に上って仕官の口が見つかったら、奥さんと娘を連れに戻ることになったことが描かれます。
江戸時代はそういう素浪人が仕官の口を探しに江戸に来るんですね。道場破りをして腕試しで認めてもらって、うまくいけば藩の剣術指南役に取り立てられます。
根が優しい人ですね。
不器用みたい。
切腹して首を斬られなかったら「痛い、痛い」ってなるよね。
江戸中期は切腹もポーズだけになりますね、タイミングを合わせて介錯。お腹にあてるだけ。最初の頃は自分で腹を斬っていたのにね。そうして介錯人まかせになると精神的負荷が大きくなります。
で、斬れない武士が描かれるんですよ。
物語の終盤に、犬も猫も殺されずに生きていることがばれるんです。
相川一家が家に乗り込んできて、お墓を掘ったら死骸がないんですね。玉之丞は見つけられて連れて行かれる。
人質のように猫質と犬質を交換することになって、その場が設けられます。玉之丞は元猫番に抱かれています。久太郎が
「玉之丞を返して」って言ったら
「どうぞ」と渡してくれるんですよ。
そこで犬番が久太郎に勝負を挑みます。
久太郎が玉之丞を抱きながら応戦しつつも、ある拍子に落としちゃうんですよ。犬番が玉之丞を斬ろうとする。それを久太郎が刀を捨ててかばうと、犬番は久太郎を玉之丞ごと斬れちゃう状況になる。でも斬らないんですよ。
「あの時の借りや」と。粋な演出です。
前に見逃してくれたから。
でもその侍は、
「お前も侍なら戦え」と言うんです。いろいろ言われても、久太郎は
「人を斬れなくても玉之丞は絶対に守る」と言う。相川一家の親分が久太郎に、
「いい猫ですね、なんていう名前ですか」と訊くと、久太郎はつい自分の名前を言っちゃって、玉之丞ですって言い直すと、
「玉之丞は当方にいます。その子はいい猫だから大事にしてあげてね」と言って見逃してくれるんですよ。
そして、久太郎と玉之丞は一緒に暮らすようになって、最後には金沢に帰ります。
仕官の口を見つけた?
無かったですね、もう金沢藩では働かないと思う。
奥さんと子供を迎えに行くのかな。
犬番は、久太郎と偶然再会する時があって、久太郎に「猫侍」って初めて言うんです。
人を殺すより動物を殺す方が駄目ってきっぱり言う。
登場人物がみんな惚けた感じで、それがまた笑えるんですよ。
シリアスなのは親の仇のところぐらいです。でもその親の悲劇の描写も無くって、仇の元猫番は依頼されただけだから知らないとめっちゃあっさり。
定型の物語だったら最後に助太刀するところですね。そこは違うよね。
一切血が流れない時代劇。
久太郎がなぜ斬れなくなったかは描かれていません。
そうね、良心の呵責かな。そこまで掘り下げられてはなかった。
介錯人の仕事で、不浄の気が溜まったのかも。
ずっと一人やったのが、猫と出会ってから人間関係が拡がっていきます。
そうそう。大体そうなっちゃうんですよ。
映画も2作目「猫侍 南の島へ行く(2015)」があるんですね。でも古いですね。
映画館で観たわけじゃないの?
と思うんですけど、ちょうど上映頃に北村一輝さんが好きだったんです。多分それで観て、今回久しぶりでした。「テルマエ・ロマエ(2012)」もそれで観に行ったんですよ。
北村一輝さんは「ゴジラ FINAL WARS(2004)」では悪役の宇宙人を演じて、怪獣を操って地球を侵略しようとする。
温水洋一さんが門番係で出ていた。
「TEAM NACS」の戸次重幸さんが猫の殺しを依頼した人。
SONGSのナレーターやね。
そうです。最後は優しかった相川一家の親分も見たことあるんです。
齊藤陽介さん。「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(1981)」にも出ていました。
玉之丞は普通の魚は食べないお嬢様みたいな育ちが出ちゃっていましたね。
前の邸が良かったらそっちに帰るんやけどね。
邸にはその子の部屋があるんです。
人と同じ扱いされて
女の子やのに歌舞伎役者みたい名前つけられて。
これは、ペルシャ猫?
ターキッシュバン。
猫はいつからペットとして飼われているんですかね。
弥生時代からいると書かれています
もう人間と一緒に暮らしてたんやね。
飼うっていう対象じゃなかったかもしれない。
猫って犬に比べると、躾が難しそうな。
身近にいるイメージ。北斎漫画で描かれている感じかな。
愛でる対象としてはそうですね。
動物愛護団体が決めた世界猫の日が8月8日。日本の猫の日実行委員会が決めているのが2月22日です。
小さい時から犬を飼っていたよ。小さい頃の写真で大きな犬にまたがってる写真があります。
大きい犬はいいですね。私もでかい犬が好きです。ゴールデンとか。なんでしたっけ、白くてでかい。サモエド?
大きい方が、のんびりして落ち着いているもんね。
昔岐阜に住んでいて、小学2年生の時に友人が牧場を経営している家の子で、僕が放し飼いにしている犬に追いかけられて、友達は僕に立ち止まるように言うんだけど僕は怖くて泣きじゃくって逃げたのを覚えています。
おじいちゃんちでゴールデンを飼っていたんですよ。その犬に昔引きずられていたらしいです。散歩でリードつけて走るんですよ。犬の方が早くてズルズルって何かズタズタになったとか。でも覚えてないんです。二代続けて飼っていて、最初の子は女の子で頭よくて、二代目の子はアホでした。おじいちゃんが死ぬ前にその犬が死んだんですよ。悟っていた感じがあって。その頃もうおじいちゃんも調子悪くて、散歩行けなくなるから分かっていたのかな。




(対話日:2024年7月24日)
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